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一眼レフの時代は終わったのか? 今になってミラーレス一眼に主力がシフトする理由荻窪圭のデジカメレビュープラス(4/5 ページ)

» 2022年08月21日 14時40分 公開
[荻窪圭ITmedia]

今になってミラーレス一眼に主力がシフトしたのは

 でも現実はそんな都合良くはいかない。

 ミラーレス一眼が登場してから、それが主流になるのに10年かかったのだ。理屈では良くても、実情が追いつかなかったのである。だから当時の認識のままだとミラーレス一眼はだめだ、と思ってるかもしれない。

 特に問題だった4点をチェックしたい。

  • EVFの欠点と進化

 当初のEVFは画像も粗く、センサーが映像を捉えてからEVFに反映されるまでのタイムラグも大きく、カメラをパンすると写る映像が追いつかなかったりして、一眼レフの光学ファインダーに比べると甚だ劣っていた。

 被写体を追いながら見ていると微妙なブレで気持ち悪いとか、ここぞというタイミングでシャッターを押してもズレるとか、粗くてディテールが分からないとか。

 でも技術は進化した。

 今は随所が高速化され、解像度も上がり、大きく見やすくなり、タイムラグも減り、連写時のブラックアウトもなくなった。

 また、暗所でも感度を上げて表示するので暗所での正確な撮影が可能になるというメリットも大きい。

 EVFが実用になる時代になったのだ。

 もちろんEVFだとずっと発光するパネルを見ることになるので長時間覗いてると目が疲れるとか、実際に撮影される映像と同じわけじゃないのでまぎらわしいとか、まだ完全ではないけれども、少なくともわたしは光学ファインダーよりEVFの方が使いやすい。

キヤノンのEOS R3のEVF。セッティングがファインダーに反映されることに加え、同時に表示できる情報量が多いのもEVFの良さ(これはめいっぱい表示した状態で、表示内容はコントロールできる)
ペンタックス「K3 III」の光学ファインダー。ファインダーをiPhoneで撮ってるのでiPhoneの写真になっちゃってるけど、光学ファインダーならではのナチュラルさがある
  • AFが遅い?

 ミラーレス一眼のAFはここ数年ですごく進化した。

 一眼レフはAF専用のセンサーを搭載している(その代わりAF測距点が限られる)のに対し、ミラーレス一眼は「コントラスト検出AF」といって、レンズをちょっとずつ動かしてフォーカス位置を変えながらイメージセンサーからの画像を読み取って最適な位置を探す方式で、これはAF速度を上げづらく、コンティニアスAFで動きものを撮るには向かなかった。

 それが少しずつ変わってきたのは「像面位相差画素」(つまり、AF専用の画素をセンサー上に設ける)が登場してから。

 その後、デュアルピクセルCMOS(デュアルPD)と呼ばれる方式が主流になると、AFの精度や速度も上がってコンティニアスAFも十分実用的になり、さらにしかもイメージセンサー全体でAFが可能になるため、リアルタイム瞳検出やリアルタイム被写体検出、などミラーレス一眼ならではのAFも可能になった。

 これは大きく、一眼レフのAFを超えたといっていいと思う。

 AF/AE追従で秒30コマ撮影なんて機種も登場しているほどだ。

 AF性能がぐんと伸びたのはここ数年のことで、ハイエンド機と普及機の差はけっこう残っているけれども、AFの常識が変わりつつあるのは確かだ。

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