今回の「指定価格」の導入に関して、パナソニックは「三方良し」の精神に則っているとしている。一般消費者にとっては、いつでもどこで同じ価格で購入できる安心・信頼感がある。隣の店舗やネットで買ったほうが安かった、1週間後に買ったほうが安かったと、悔しい思いをしなくて済む。
流通側(小売業者)としては在庫リスクがなくなり、必要以上の価格下落が回避されることで利益を確保できる。また、店舗が在庫リスクを負わなくて済むことから、これまで売れるかどうか分からない高付加価値製品を、店頭在庫として置くことに躊躇(ちゅうちょ)があった小規模店舗でも導入に踏み切れる。
家電量販店との価格差に苦労していた地域店も、価格が同じならば売りやすくなり、消費者はより自宅近くの店舗で購入できて便利になる。
メーカー(パナソニック)としては、高付加価値商品を値崩れすることなく販売し続けることで利益を確保し、次の製品開発に資金を回すことができる。また、無秩序な価格下落を防ぐことは、商品寿命の長期化も図れる。
これまで、他社との競合により、毎年新製品を発売してきたが、「新製品」とするために、ユーザーにとって不必要な機能・性能を無理に押し付けてきたのではないかという反省がパナソニックにはある。同社は新スキームの導入と同時に商品サイクルも見直しており、新製品開発スパンを2年に延長したアイテムを増やしているところだ。
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