エンジニアならではの書籍といえども、普通に皆さんが読まれているものを挙げても面白くないので、私のキャリアの原点であり、技術面でも一番成長したゲーム開発者時代に読んでいた本「ハッカーのたのしみ」(ヘンリー・S・ウォーレン、ジュニア著)と「Real-Time Collision Detection」(クリステル・エリクソン著)を紹介します。実はMoTでのサービス開発でも参考にすることがある2冊です。
「ハッカーのたのしみ」と「Real-Time Collision Detection」は、どちらも計算アルゴリズムを最適化することによってコンピュータの性能を限界まで引き出すための知識を与えてくれる書籍です。
ITサービスにおける技術領域の中でも、特にサーバサイドではクラウド化が進み、システムの処理性能を上げるべくいかにスケールアウトできるアーキテクチャにするかが注目されがちです。一方で、私自身はプログラムの処理性能を引き上げることで、システムの規模を一般的なアーキテクチャに比べて小さく抑えることを実践してきました。
具体的には、私が2021年に自社ブログに投稿した「Point-In-Polygon処理」の最適化の話などです。このときは、一般的なRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)を使って作成していたシステムに比べて数百倍高速なシステムに仕上げられました。
もちろん、システムのスケーラビリティなど、一般的なサーバサイドにおける技術も必要不可欠なので、それらを把握することも欠かせません。一方で、ちょっと変わった視点でシステムを見つめる良いきっかけになるのではと思います。
※Point-In-Polygon処理:地理情報システムにおける、緯度・経度を座標とした判定処理のこと。MoTではタクシーの車両や客が特定範囲内に位置しているかどうかの判定に使用している。
株式会社フロム・ソフトウェアに入社後、家庭用ゲームソフト開発に従事。執行役員兼技術部部長として、PCやPS3、Xbox360などをカバーするクロスプラットフォームフレームワーク開発や開発環境の整備を推し進め、後の世界的ヒットタイトルを生み出す土壌を築く。2013年より株式会社ディー・エヌ・エーへ入社し、モバイルゲームの基盤技術を構築。2018年よりオートモーティブ事業本部に異動し、翌年、タクシーアプリの開発責任者に。2020年4月よりMoTに開発本部 本部長として転籍。2021年6月より現任。
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