第1回会合では検討事項が整理されたほか、標準技術に準拠した方式に基づいた、緊急通報発信のみのローミング、電話・データ通信をも含むフルローミング、SIMなし発信を行う場合、それぞれのパターンについての動作を、通信事業者の業界団体である電気通信事業者協会(TCA)が説明。問題点などを指摘した。
例えば、緊急通報のみのローミングや、SIMが入っていない端末からの発信の場合、緊急通報受理機関からの「呼び返し」(折り返し電話)ができない。しかし、日本では緊急通報で呼び返しができなくてはならない。これは法律で決められている。
第3回会合で緊急通報の対応について説明した警察庁、消防庁、海上保安庁も、呼び返しは「不可欠」との立場だ。特に海上保安庁は、緊急通報を受理した場合、ほとんどの場合で呼び返しを行っているという。船は海流に乗って動くので、通報時に端末のGPSで位置を把握しても、時間が経つと船は移動してしまい、通報者にすぐたどり着けないことがあるという。
SIMなし端末からの通報は位置情報がないこと、呼び返しができないことを懸念。いたずら電話や、DDoSならぬTDoS(Telephony Denial of Service)攻撃のリスクもある。第3回会合 海上保安庁の資料より
ただ、3者は「通報自体ができないよりは、呼び返しなしの緊急通報でもできた方が良い」という姿勢も示している。
電話・データ通信も含むフルローミングについては、呼び返しはできるが、ユーザー自身で他社ネットワークに接続するための設定操作が必要だったり、他社ユーザーによってネットワークがひっ迫したりする懸念が指摘された。また、加入者データベースが被災、あるいは障害がある場合、現状の標準技術に準拠した方式ではローミングができない。KDDIの通信障害は加入者データベースが輻輳(ふくそう)状態になったことで大規模障害になったが、標準の仕様ではローミングできず救済できないことになる。
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