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どっちが便利? 法務SaaS完全理解マニュアル クラウドサイン vs. DocuSign編リーガルテック最前線(2/3 ページ)

» 2022年12月20日 09時27分 公開
[武内俊介ITmedia]

クラウドサイン

 クラウドサインは弁護士ドットコム社が提供する電子契約サービスである。サービスの提供開始は2015年と早く、認知度、導入社数ともに圧倒的な国内ナンバーワンだ。

 機能は非常にシンプルで、PDF化した契約書をアップロードし、チェックや記入が必要なカ所に入力欄を設定した上で、メールアドレスをベースに社内や相手方の承認者を設定し、契約書を送信するだけである。

クラウドサインを使った契約締結の流れ

 相手方はクラウドサインのアカウントがなくても処理が可能であり、送られてきたメールに設置されたボタンを押し、ブラウザ上で記入・承認をする。全ての処理が終わると双方に締結済の契約書がPDFで共有され、双方がそれを保管することになる。

 電子契約には印紙が不要であることに加えて、製本、郵送の手間とコストがかからず、印鑑を押すためだけに出社する必要もない。操作も簡単であることから、相手方のITリテラシーが高くなくても電子契約は可能であることも大きい。

 一方で、メールアドレスだけで本人確認が十分なのか、誤送信のリスクや無権代理の問題はないのか等の批判も存在する。確かにメールアドレスにはなりすましの可能性はあるが、NDAなどの締結で印鑑証明まで取り寄せて照合している企業が一体どれほどあるというのだろうか。相手方の反社チャックや与信確認を行った上で契約を締結することは当然のことであり、そこは紙の契約書でも電子契約でも変わらない。

 高度な認証機能や、相手方にもアカウント作成を求めるなどの対応を行わず、あえてシンプルに「デジタル上で契約の締結ができる」という部分に特化しているのが、クラウドサインの強みである。

 契約書の作成やレビュー、社内の承認、相手方の認証など契約プロセス全体から必要な機能はいくらでも思いつくし、多くの要望を受けているはずだが、最もアロナグで効率が悪かった契約書の締結処理の部分に絞ってクラウドサインはサービスの提供を続けている。コロナ禍で電子契約を受け入れる体制が企業側にもできたことが追い風になり、ナンバーワンの地位を盤石なものにしている。

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