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掃除機市場の2023年を大予測 国内外のメーカーが入り交じる大激戦!?知らないと損!?業界最前線(2/5 ページ)

» 2022年12月21日 07時00分 公開

ダイソンがけん引してきたコードレススティック掃除機市場

 近年主流となり、キャニスター型掃除機よりもシェアを拡大しているのがコードレススティック掃除機だ。電源コードを搭載せずにバッテリーで動作するスティック掃除機自体は古くから存在した。しかし、バッテリー駆動時間が短かったり、吸引力が低かったりすることが長く課題となり、2台目用途で使われることが多かった。

ダイソンの現在の代表的なスティック掃除機が「ダイソン V12 ディテクトスリム」シリーズ(実勢価格7万円〜)。ヘッドに搭載したレーザーが床にある微細なホコリを可視化。またペットの毛などが絡むのを防止しながら吸引できるヘッドも付属する

 その流れを変えたのがダイソンのコードレススティック掃除機だ。06年に日本市場向けとして初となるハンディ掃除機「ダイソンルート6 DC16」を発売。そして11年にはハンディ掃除機に延長管とヘッドを付けたコードレススティック掃除機「ダイソン デジタルスリム DC35 マルチフロア」(以下、D35)を発売。コードレス化を進めていく。

 バッテリーで駆動するコードレス掃除機の進化は、ハイパワーモーターの開発による吸引力の向上と、より容量の大きなバッテリーの採用が鍵になる。ダイソンは小型のデジタルモーターの開発を進め、さらにDC35では、当時まだ高価だったリチウムイオンバッテリーを搭載するなどして駆動時間を伸ばし、コードレススティック掃除機市場を拡大していった。

 この当時、ダイソン以外に日本国内で家庭用のコードレスのスティック掃除機を展開していたのはスウェーデンのエレクトロラックスぐらいで、国内メーカーもスティック掃除機を手掛けてはいたが、そのほとんどがコード式。掃除機市場の主流はキャニスター型だった。

 また当時のコードレスクリーナーは、充電8時間に対し稼働時間が約10分しかないなど、機能はかなり限定的で現在のようには使えなかった。国内メーカーがコードレス掃除機に力を入れ始めるのは、リチウムイオンバッテリーが普及する13年頃だ。

 そして18年にダイソンは「コード付き掃除機はもうつくらない」と宣言。コードレススティック掃除機をメインに据えた。この流れに国内家電メーカーも追随し、多くの製品が登場した。

 マーケティング調査会社のGfKジャパンが19年に発表した「2018年家電・IT市場動向」では、18年度の国内の掃除機出荷台数で、初めてスティック掃除機がキャニスター型を上回っている。

GfKジャパンの「2018年家電・IT市場動向」によると、国内の掃除機出荷台数で、スティック掃除機が43%、キャニスター型掃除機が37%%となり、初めてスティック掃除機がキャニスター掃除機を上回った(出典:GfKジャパン、2018年家電・IT市場動向

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