近年主流となり、キャニスター型掃除機よりもシェアを拡大しているのがコードレススティック掃除機だ。電源コードを搭載せずにバッテリーで動作するスティック掃除機自体は古くから存在した。しかし、バッテリー駆動時間が短かったり、吸引力が低かったりすることが長く課題となり、2台目用途で使われることが多かった。
その流れを変えたのがダイソンのコードレススティック掃除機だ。06年に日本市場向けとして初となるハンディ掃除機「ダイソンルート6 DC16」を発売。そして11年にはハンディ掃除機に延長管とヘッドを付けたコードレススティック掃除機「ダイソン デジタルスリム DC35 マルチフロア」(以下、D35)を発売。コードレス化を進めていく。
バッテリーで駆動するコードレス掃除機の進化は、ハイパワーモーターの開発による吸引力の向上と、より容量の大きなバッテリーの採用が鍵になる。ダイソンは小型のデジタルモーターの開発を進め、さらにDC35では、当時まだ高価だったリチウムイオンバッテリーを搭載するなどして駆動時間を伸ばし、コードレススティック掃除機市場を拡大していった。
この当時、ダイソン以外に日本国内で家庭用のコードレスのスティック掃除機を展開していたのはスウェーデンのエレクトロラックスぐらいで、国内メーカーもスティック掃除機を手掛けてはいたが、そのほとんどがコード式。掃除機市場の主流はキャニスター型だった。
また当時のコードレスクリーナーは、充電8時間に対し稼働時間が約10分しかないなど、機能はかなり限定的で現在のようには使えなかった。国内メーカーがコードレス掃除機に力を入れ始めるのは、リチウムイオンバッテリーが普及する13年頃だ。
そして18年にダイソンは「コード付き掃除機はもうつくらない」と宣言。コードレススティック掃除機をメインに据えた。この流れに国内家電メーカーも追随し、多くの製品が登場した。
マーケティング調査会社のGfKジャパンが19年に発表した「2018年家電・IT市場動向」では、18年度の国内の掃除機出荷台数で、初めてスティック掃除機がキャニスター型を上回っている。
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