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「遊んで稼ぐ」は実現可能か? コロプラ創業者が挑む、持続可能なブロックチェーンゲームとは(3/4 ページ)

» 2022年12月27日 14時50分 公開
[岡田有花ITmedia]

STEPNを「普通の人」がやっているのを見て

 従来のゲームは、ユーザーからお金をいただいて、楽しさを提供するものでした。そこにプラスの要素として、儲かるとか経済性を伴うことがエポックメイキングなことかもしれない、と強く思ったんです。

 きっかけは「STEPN」です。今年の4、5月ごろに、IT系ではない僕の知り合いがプレイして「10万円儲かった」などと話していて。一般層に普及したと実感しました。一般とは、日本の人口の10%。コロプラのゲームのプレイヤー層と同じぐらいです。

画像 STEPN(App Storeより)

 STEPNをプレイするには、トークンを買い、海外の取引所で換金して……とハードルが高いはずですが、そこを乗り越えて一般層がプレイするだけのパワーが、「ゲームをすることでお金が得られる」という体験にある。これは確かに、ゲーム史に残る新しい体験だと改めて思い、「作ろう」と思いました。

 ブロックチェーンは初期からウォッチしていました。ビットコインの後、イーサリアムが出てきて、ブロックチェーンゲームの走りである「CryptoKitties」(仮想猫を購入、繁殖させるゲーム)が出た。CryptoKittiesは、ゲーム性はあまりなかったけど、NFTとゲームの取り合わせが面白くて、自分でも作ってみたいと思っていました。

 ただ、日本でやった場合、いくつかの法律に違反してそうだな……と思いとどまっているうちに、カードバトルでトークンがもらえるAxie Infinityが出てきて。Play to Earnは面白いと思ったものの、原資となるトークンの価値がどこからも生まれていないことが気になりました。

 そしてSTEPNを一般の人がやっているのを見て、自分でも作ろうと思ったんです。

 ただ、ゲームプレイで他人の価値を作らないと、公式が解けない。これがとても難しくて、3日ぐらい悩んで、アイデアが浮かびました。

「ビットコインのようなゲーム」 面白さは「スルメ」ぐらい

 具体的にはまだ秘密なんですが、ヒントはビットコインです。ビットコインは、台帳のデータを証明するために、マイナーがコンピューターを使って、世界一無駄な、意味の無い計算(ハッシュ値の計算/マイニング)をして、その報酬としてビットコインがもらえる。無駄な計算をした結果が、1ビットコイン数百万円という結果につながっているんです。

 仮想通貨は、根本の部分がクラックされたことはありません。ヒューマンエラーによるカギの流出などはありますけど、仮想通貨の本質的なシステムが破られたことはない。マイナーの“無駄な計算”が、ビットコインのシステムを維持し、他人の価値を作り出している。これをゲームプレイに置き換えたら、成り立ち得ると思ったんです。

 ビットコインのようなものをゲームに組み込む。条件は「面白いんだけどけどそんなに面白くない」こと。ハッシュの計算がすごく有益だったら、みんなやっちゃうから、それでは価値がないんです。ただ、ゲームとしてはある程度は面白くないといけない。ゲームがめちゃくちゃ面白いと、成り立ち得ない。

 スルメのような面白さを目指しています。おかずのメインにはならないけど、なんか美味い、たまに食べたくなるな、という。ただ面白すぎてもダメだから、面白いけど面白くない、微妙なところがゲームに求められる役割です。「プチプチ」みたいな。

 プレイすることがほかのプレイヤーや第三者の価値になる。これこそ本当のトークンエコノミーだと思います。その立て付けが大事で、それがうまくいかなければ失敗します。ビットコインはProof of Works(PoW)ですが、われわれはProof of Gameing(PoG)です。

今まで証明できなかったものを

 どんなゲームかは……企画書のさわりだけ話しますね。

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