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マネフォ通期決算は再び上振れ 45%成長のARR163億円に 次の成長戦略は金融サービス(1/2 ページ)

» 2023年01月16日 20時29分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 マネーフォワードが1月16日に発表した、2022年11月期の通期決算は売上予想や想定ARRの上限を上回る好成績だった。SaaS ARR(経常収益)は前年同期から45%増加し163億円に、売上高は同37%増加して214.8億円となった。

ARRは対前年45%増。特に最大ポーションの法人向けサービスが55%増加してけん引した

 成長をけん引したのは、これまで同様、会計などクラウドERPを主力とする法人向けサービスだ。ARRの成長率は、54%だった第3四半期からさらに加速して55%となり、114.4億円に達した。

 コロナ禍におけるバックオフィス業務のデジタル化の流れや、インボイス制度、電子帳簿保存法などの施行もあり、「財務・会計管理ソフト」や「人事・給与管理ソフト」の市場規模は想定を超えて拡大している。富士キメラ総研の推計では、23年の市場規模は、19年時の想定よりも財務会計で2.0倍、人事給与で2.8倍に上方修正されている。

 拡大する市場に向けて、大きく投資のアクセルを踏んだマネーフォワードだが、この1年は大きなリターンを得た格好だ。

 法人向けサービスでは19年11月期に38億円だったARRが、3年後の22年11月には114億円と3倍に増加した。顧客数が2倍になっただけでなく、中堅企業向けにプロダクトを拡大したことが功を奏し、顧客単価(ARPA)も1.5倍になった。

人員の伸びを抑制、24年11月期にはEBITDA黒字化へ

 23年11月期は売上高の成長率を28〜38%、ARR成長率を30〜40%と見込む。22年11月期とほぼ同水準だ。一方で、24年11月期にはEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)黒字化を目指しており、コストの伸びの抑制に入る。

21年11月期にEBITDA黒字化を果たした後、再度大きく投資にかじを切った結果、22年11月期のEBITDAは60.3億円の赤字に

 同社のコストのほぼ半分は人件費であり、売上の伸びに対し人件費増加を抑える。21年11月期は人員を45%増やし、22年11月期はさらに650人を採用し人員は1.5倍となった。現在の人員数は1909人に達している。現在リモートワークが中心だが、「週一回の出社でもオフィスに入り切らなくなってきた」(辻庸介社長)状況だ。

直近1年間で650人を採用し急速に人員数が拡大した

 23年11月期は、採用数を四半期あたり50〜100人程度に抑える。増加率でいうと10〜20%にとどめる形だ。「先行投資はするが、23年11月期はコストを重視している。『全社的な生産性の改善』というワードを成長戦略に入れ込んだ。一人あたり売上高を伸ばしていく」(金坂直哉CFO)

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