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ベートーベンの楽曲に「三三七拍子」は入ってる? 音符36万個を学んだAIで調べる「Beethoven Beats」遊んで学べる「Experiments with Google」(第29回)(1/2 ページ)

» 2023年01月27日 17時30分 公開
[佐藤信彦ITmedia]

 「Experiments with Google」は、Googleが人工知能(AI)や拡張現実(AR)といった最新技術の可能性を示すために、実験的な応用例を紹介するショーケースだ。膨大なコンテンツを公開しており、その多くはスマートフォンやPCで試せる。

 この連載では、多種多様な応用例の中から興味深いものをピックアップ。実際に遊んだ体験レポートを通して、裏側にあるテクノロジーや技術の活用方法、その目的を解説する。

 読者の皆さんも、ぜひ自分の手で試しながらその仕組みを学んでもらえたらうれしい。きっと、最新技術の魅力に気付くはずだ。

ベートーベンの楽曲に親しもう 聴くだけではない楽しみ方

 連載29回目の今回は、好きなリズムを入力するとベートーベンの楽曲から一致するパートを探してくれるAI「Beethoven Beats」を取り上げる。

photo 入力したリズムと一致するベートーベンの作品を探し出す(出典:Google)

 音楽を構成する要素は数え切れないほどあるが、基本的には高さ(音程)と長さ(音価)の異なる音を順番に組み合わせたデータ列といえる。さらに、音程の異なる音の組み合わせ(和音)と、音価のパターン(リズム)も重要な意味を持つ。

 音程や音価、リズムの組み合わせには、どうしても作曲者の癖が出てしまう。癖は指紋のようなもので、聴いた曲を「これは○○が作った曲かも」と思ったり、「これは○○風の曲だ」と感じたりする。

 そのような作曲者の癖をAIに学習させ、入力したメロディをベートーベン風やモーツァルト風に編曲してくれるWebコンテンツ「Assisted Melody」を以前遊んでみた。今回紹介するBeethoven Beatsは、それと異なるアプローチで音楽を楽しめるコンテンツだ。

 Beethoven Beatsに任意のリズムを入力すると、ベートーベンが作曲したピアノソナタ全32曲から、そのリズムに一致する部分をAIが探し出してくれる。ソナタの中に思わぬリズムが組み込まれていることもあり、新しい視点からベートーベンの作品を改めて鑑賞し、再発見できる。

好きなリズムを4秒間で入力 AIが似たパートを探索

 Beethoven BeatsはWebアプリとして無料公開されているので、すぐに使える。

 起動すると任意のリズムを入力する画面が表示される。4秒間だけ、好きなリズムをキーボードで入力できる。スペースキーをたたくのが入力しやすいだろう。与えられた4秒間に狙うリズムをちょうど収めるには、最初に少し練習しておいた方がいい。

「運命」のモチーフが使われた作品を探してみる

 ベートーベンの作品は有名なものが多いが、中でも交響曲第5番「運命」の冒頭で鳴り響く「ダダダダーン」は特に有名だろう。印象的なモチーフで、第1楽章のあちらこちらで多用されている。ベートーベン自身も気に入っていたのかもしれない。

 もし気に入っていたのなら、同じモチーフをピアノソナタにも使ったのではないだろうか。Beethoven Beatsで調べてみよう。入力画面でダダダダーンと3回入れてみた。

photo ダダダダーンを入力してみた(下側の画像)

 一瞬で「ピアノソナタ第23番『熱情』」の第1楽章に、該当するフレーズがあると見つけ出して再生を始めた。どうだろう、かなり似ていると感じる。運命と同じ時期に作られた曲なので、気に入ったモチーフを両方で使ったのかもしれない。

photo ピアノソナタ第23番「熱情」の第1楽章がヒットした

 Beethoven Beatsが便利なのは、曲全体も再生できるところだ。最初から全部聴いても良いし、見つけ出した部分の前後を繰り返し再生しても良い。

photo 曲の全体も再生できる
見事に似ているパートが見つかった
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