米国に本社を置くBox社は、南カリフォルニア大学の学生寮でアーロン・レビィ(現CEO)が05年に立ち上げた会社である。創業時期は前述のDropboxよりも早いが、長らく法人向けサービスに特化してきているため、日本での知名度はDropboxに劣っている。
一方で、セキュリティやユーザー管理機能に強みを持ち、特に大企業の社内ストレージをクラウド化する際に採用されており、日経225採用企業の約6割が利用している。
Dropboxとの一番の違いは、ファイル保存のクラウド完結へのこだわりである。企業向けに特化したサービスを提供してきたことから、ファイルのダウンロードを含め「いかにローカル保存をさせないか」という観点からプロダクトの各機能が磨き込まれている。
ユーザーフレンドリーなUIはもちろん、あらゆる形式のファイルをプレビュー表示し、ファイル共有のためのリンク発行時に有効期限やパスワードを設定することができたり、とにかく「ダウンロードしたファイルを添付する」ことをユーザーが行う必要がない。
Box Driveというアプリを利用することで、各端末のローカルフォルダと同じ感覚でBox内に保存されたファイルにアクセスできる機能も提供している。ただし、これもDropboxとは異なり実際には各端末にはファイルは保存されていないにも関わらず、他のローカルフォルダと同じ感覚でファイルを取り扱える。技術的な観点からも、各端末にファイルをダウンロードさせた上で同期させた方がはるかに簡単だが、そこにBox社の強いこだわりが感じられる。
企業側の管理者に向けた機能も充実しており、ユーザーごとにアップロード、ダウンロード、プレビュー、リンクの取得、編集、削除などの各操作の可否を非常に細かく設定できる。例えば、プレビューは表示できるがダウンロードができない、アップロードはできるがダウンロードはできない、などのきめ細かい設定が可能だ。
共有リンクの発行可否も権限の中でコントロールできるので、不適切なユーザーにむやみに外部にファイルが共有されることもない。クラウド上でファイルを簡単に取り扱えるようにする一方で、セキュリティ面の機能や管理機能などが、他のクラウドストレージとは比較にならないほど充実している。
ビジネス系のプランでは保存容量は無制限であり、大企業で社内のストレージを安心してBoxに移行することが可能だ。ただし、動画やデザインなどの容量の大きいファイルはクラウド上でスムーズに処理することが難しいため、ExcelやWord、PowerPointなどの一般的なオフィスソフト利用がメインの会社の方が良いだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR