OpenAIが2022年に発表した対話型AI「ChatGPT」の衝撃は、米国ビッグテック最強の一角であるGoogleを動揺させた。Googleは急ぎ「Bard」と名付けたAIチャットボットを投入し、巻き返しを図る。
側から見ていると急展開に心が躍る一方、果たしてこの戦いは本当に意味のあるものになっているのか。チャットボットを長年ウォッチしてきた筆者としてはハラハラする気持ちも少なくない。
まずは現状のAIチャットボット関連をまとめ、それからチャットボットの歴史を振り返り、現状、そして未来を予想してみたい。
最近になって深層学習をベースとしたチャットボットが注目を集めている。OpenAIのChatGPTについてはもう説明はいらないだろう。GoogleのBard、そしてOpenAIに資金投入するMicrosoftによる「Bing+ChatGPT(GPT4)」の登場も間近と言われている。ほかにも、チャットボットではないが「Perplexity.ai」のような新しい検索サービスも登場している。
例えばPerplexity.aiに「1975年のアメリカ大統領は誰か?」と聞いてみる。
答えは「ジェラルド・フォード」となった。本当かどうか調べたければ、出典として掲出されているWikipediaのページを見ると、1974年にニクソンから政権を引き継ぎ、77年にカーターに政権を引き渡したことまで分かる。
Perplexity.aiのサービスが注目を浴びているのは、チャットではないものの、出典が明記されることで、従来の検索エンジンの使い勝手のまま深層学習の恩恵を得られる点だ。
また、回答の詳細を説明させることもできる。さらに「フォローアップ」として、この質問の答えに関連した質問もできる。これが従来の検索エンジンと違うところだ。
続けて「ジェラルド・フォードの好きな食べ物は?」と聞いてみる。普通の検索エンジンなら答えに辿り着くのはかなり難しいはずだ。すると、すぐさま「ステーキとポテト」が好きだったという記録が出てくる。
その出典は、なんとフォード博物館の記録で、フォードの妻、ベティのファミリーレシピがPDFファイルとして示される。そして実際にベティ・フォードの得意料理のレシピまで、タイプライターで打ち出された文章がそのまま掲載されている。
これには率直に言って驚いた。普通に検索してここに辿り着くのは難しかっただろう。
Perplexity.aiに比べると、ChatGPTはかなり怪しい答えでも自信満々に返してくる(記事参照)。このあたりが洗練されているとは少し言い難い。
ではChatGPTがこのまま進歩していけば、正確な答えを返すチャットボットになっていくのだろうか? それを考えるために、MetaのAI研究機関トップのChatGPTに関するコメントを見ておこう。
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