「インボイス制度は”弱いものいじめ”だ」――不公平な税制について研究している弁護士の宇都宮健児さんはこう批判する。年収1000万円以下をターゲットにしたインボイス制度で、年間2180億円というわずかな増収を目指すより、富裕層への金融所得課税を見直して3兆円増税した方が、格差是正につながると主張する。
「日本はコロナ禍・物価高の中で弱い者の負担を過重にしようとしている。コロナ禍で消費税を減税したヨーロッパ諸国と対照的で、弱い人をますます追い詰める政策だ」(宇都宮さん)
取引先がインボイスに耐えられずに廃業し、仕事を失ったというシングルマザーもいると、小泉さんは言う。「インボイス実施前から傷ついている人がとても多い」(小泉さん)
宇都宮さんは、「仕入れ税額控除を適格請求書に限るのは、税制改革法の10条2項に違反し、法律的にも問題だ」と、違法性も指摘した。
フリーランスは確定申告作業の時期に入っている。取引先から支払調書とともに、インボイス登録の依頼を受け取る人も増えているという。「3月末までに登録だと思っている人も多いが、登録申請は9月末までに延長されている。登録した後、取り下げもできる。登録事業者になれば新たな負担が発生する。どうか焦らずに、制度を知るところから始めてほしい」と小泉さんは言う。
STOP!インボイスは「おてがみ大作戦」と称し、地方議会に陳情書を送る活動も行っている。「インボイスは小規模事業者に重い負担を求め、地域社会に影響を及ぼす。地方・田舎ほど、小さな事業者が潰れたら復活できない。統一地方選挙が春にあるので、そこに向けて争点となるよう、きっかけを作りたい。各地の方にもぜひ行動していただけたら」(ライターの阿部伸さん)
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