文具マニアの間では常識の範疇ではあるけれど、かつて、シャープペンシルの芯は、鉛筆の芯と同じように、黒鉛(グラファイト)に粘土を混ぜて焼くという作り方だった。そのため、あまり細い芯を作ることができないし、折れやすかった。
なので、初期の芯径は細くても1mmくらいで、ノック式だと折れやすいため回転繰出し式が主流だった。その状況を変えたのが、ぺんてるが1960年に開発した「ハイポリマー芯」。黒鉛に合成樹脂を混ぜて焼くことで強度が増し、細い芯を作ることが可能になったのだ。60年に0.9mm、62年に0.7mmと0.5mmの芯を発売し、以降シャープペンシルは0.5mmのノック式が主流になって現在に至る。
そのハイポリマー芯を開発したぺんてるは、その後も、折れにくく、より細く、濃く書ける芯を目指して開発を続けた。他のメーカーでも様々な工夫がなされた芯が発売される中、芯の強度を高めつつ、芯径の極細化を進め、0.2mmなど超極細芯を実用化する。
今回、発売されたシャープペンシル芯「Pentel Ain(アイン)」は、ぺんてるが13年ぶりに発表した、新しい芯のシリーズだ。そして、1月11日を「シャー芯の日」(日本記念日協会認定)として、シャー芯のぺんてるをアピールしている。
実際、今回発表されたPentel Ainは、折れにくさ、濃さ、汚れにくさなどを高いレベルで維持したまま、書き味の滑らかさに磨きをかけたという新しい切り口の製品。しかも、常識外の発想で生まれた製品だということで、開発者の話を聞きつつ、シャープペンシルの芯というのは、一体何なのか、という部分を考えてみたいと思った。
シャープペンシルの芯は、主に黒鉛と合成樹脂を配合して作られる。ただ、合成樹脂と黒鉛の粉が十分にくっついていないといけないので、何度も練っていく。そうして出来たものを押し出して、断面形状が丸くて細い棒状にして、その棒を真っ直ぐな状態にして熱を加えていくという過程で作られる。極細芯(0.2や0.3など)用の太さに押し出すというのも驚くけれど、押し出した、まだ柔らかい状態の芯を、人が手をかけて真っ直ぐにしているというのだ。
0.5の芯が40本入って、220円とかで売られているので、つい、完全な機械化がなされていると思っていたが、そういうものでもないらしい。
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