これも、言われてみれば当たり前だが、太さの違う芯、例えば、0.2や0.3の極細芯と0.9や1.3などの太芯では、それぞれに製法上の難しさが違う。さらに、同じ筆圧で書いた場合、ペン先にかかる力が同じだと太い芯で書く方が面積あたりにかかる力が少なくなるため描線が薄くなる。
しかし、シャー芯は規格で、0.5のHBの芯を基準に、固い方ではH、2Hとだんだん描線は薄く、柔らかい方にはB、2Bと描線は濃くならなければならないという決まりがあるらしい。なので、同じ素材で全ての芯を作ると、0.5のHBより、1.3のHBの方が線が薄いということも起こりかねない。
だから、固さが違う場合はもちろん、太さが違う芯も、それぞれ製法が違ってくる。今回、「Pentel Ain」は、恐ろしいことに濃さは0.5が2Hから4Bまでの7種類、0.3がHから2Bまでの4種類、他の、0.2、0.4、0.7、0.9、1.3の5種は、HB、B、2Bの3種類。つまり黒の芯だけで26種類、そこに0.5の赤芯と青芯があるので、全部で28種類を、一気に発売しているのだ。それは、開発に13年くらいはかかるだろう。
今回はケースも凝っている。使いやすいケースを作ろうと中高生にアンケートを取ったところ、芯の出し方、シャープペンシルへの芯の入れ方には何の法則性もないということが分かったそうだ。それでぺんてるが考える使いやすくてカッコいいケースを独自にデザインしている。
面白いのは、店頭で必要な「0.5のHB」といった表示を大きく分かりやすくすることや、ケースの開閉の仕方といった情報は、使う時には不要になるということで、それらをシールにしてしまって、使う時には剥がしてもらうというデザインを採用したこと。これなら、店頭では見やすく買いやすいけれど、使う時はシックでカッコいい。
さらに、驚いたのは、芯の取り出しやすさ。まず、ケースは片手でツーアクションで開くことが出来る。ペンケースの中で勝手に開いて芯がこぼれないように、ロックがかけられているのだが、ふたを下方にスライドさせるとロックが解除され、それを右にスライドすると芯が露出するのだ。
そして、芯の上の方が少し露出しているだけなのに、これが掴みやすい。実は、表側よりも裏側の方がケースが深く切り込まれていて、それが掴みやすさに繋がっているのだ。
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