パッと見には、スッキリした曲線に落ち着いた色調の高級ボールペンといった佇まい。しかし、よく見るとノックボタンは宙に浮いているように見える。そして、素材もアルミのようだが、もっと硬いイメージがある。この軸、実は、筆記具には珍しく、ジュラルミン製なのだ。アルマイト加工で鈍く光る佇まいの重厚さが新鮮。
「本当にジュラルミンが必要かというと、筆記具として考えればオーバースペックです。ただ、このペンの場合、塊感と浮遊感という相反する2つを1本の中で表現したかったんです。アルミというと、アルミ缶のイメージが強くて、柔らかいものに見えてしまうと思うんです。その点、鉄鋼材に匹敵する硬さがあるジュラルミンだと塊感が出るし、ソリッドな感じにもなったと思います。それを表現するために、実は軸の曲線も、1つのアールではなくて、複数のアールを細かく組み合わせています。ただ、それも感覚的なものなので、手で描いてみて、何個もモデルを作ってもらって、それを手にしないと分からないんです。よく設計の人たちが付き合ってくれたと思います」(国府田氏)
塊感があって、手にした時にしっくりくる曲線を作るために、ほとんど見た目は同じ軸をいくつも試作したのだという。製造しやすさよりもデザインを優先するというのは、文具メーカーではかなり珍しいのだが、この場合、デザイン・コンセプトを優先するシリーズなので、こういうこともできた。ずっと、デザインペンに取り組んできたトンボ鉛筆ならではといえそうだ。
そして「ZOOM C1」の大きな特長である、浮かんで見えるノックボタンについても、イメージを色々と描いてみる過程で思いついたのだそうだ。
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