「太い軸もあれば細い軸もあるという展開を考えたのですが、実は、これ、細く見えるけれど実際はそれほど細くないんです」と国府田氏。
確かに、持ってみると、大人の男性の手でもしっくりと手に馴染む。そして、しっとりと手に吸い付くような持ち心地は、ラバー塗装のようだが、そうではない。加水分解でベタベタになってしまうラバー塗装は避け、武蔵塗料のソフトフィール塗装「ネオラバサン」を使用。加水分解しないというこの塗装の触り心地がとても良く、この感触が、キャッチコピーの「書かなくても触れたくなる」の理由になっている。
そして、この「L2」、よく見ると、ノックボタンが逆円錐形だったり、クリップの形も先に行くにつれて太くなっているし、ペン先の口金には妙な抑揚が付いているなど、ひとつひとつのパーツが、かなり個性的な形をしているのだ。
「実は、軸を含め、パーツが全部、細いところから太いところに行ったり、太いところから細いところに行ったりしています。あらゆるパーツがそういう抑揚の中にあるんですが、それが組み合わさるとうるさくなく、一本のペンとしてまとまるように作りました。どうしたかというと、各パーツの比率は普通の筆記具のような安定したものにしました。それで、個性的な形だけどペンとしては収まるところに収まるようにバランスを取ったわけです。だから、尖りすぎずにまとまっています」(国府田氏)
それぞれ、全然違った形で、しかもペンのパーツとしてもおかしな形なのに、1本のペンとしてバランス良いどころか、お洒落で綺麗にさえ見える。何となく、もうすぐ解散するBiSHを思わせるようなペンなのだった。
「口金とノックボタンが、どちらも逆円すいになっていて、一番上と一番下の形をリンクさせることで、落ち着きを出しています。そういう手法も含めて、『L2』は、今持てるデザインのスキルを詰め込んだようなバランスの取り方をしています。これ、本当に難しかったんですけど、結局、3つの中では、一番デザインがしっくり行った感じがします」
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