スマートカー部門で技術を統括する李暁駿CAO(Chief Architect Officer、当時)も、2021年4月に日本人有識者向けの説明会で、「Huaweiのスマートフォンは2万元(約38万円)でも売れている。自動車を造ったなら高くても売れるだろう。自動車メーカーに安心してもらうために、造らないが」と語っている。
ただ、実際にHuaweiが自社ブランドで生産するならば、既に提携しているメーカーは技術開発の踏み台にされたも同然であり、Huaweiから部品を買う自動車メーカーもなくなるだろう。
決算発表会でAITOを引き合いに出し、自動車製造に進出する意志を質問したのは中国テクノロジーメディアの記者だった。しかし日本も含めた海外メディアの関心は、規制下でのビジネスや半導体調達の見込み、そしてカナダで3年弱拘束された末に司法取引で帰国し、4月1日から輪番会長として職務を執る孟晩舟氏に集中した。そして中国では、記者会見が終わる前から、「Huaweiが今後5年は自動車を造らないと言明」というニュースがSNSでトレンド入りしていた。
Huaweiというブランドと技術力に期待する中小メーカーと、警戒する大手メーカー。中国自動車業界は、Huaweiが仲間かライバルなのかを今も図りかねているようだ。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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