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マネフォ、再び決算上振れ 家計簿ソフトMEの課金ユーザーは急増

» 2023年04月14日 19時07分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 マネーフォワードは4月14日、2023年11月期第1四半期(12-2月)の決算を発表した。最も重視するKPIであるSaaS ARRは、前年同期から42%増加して182.8億円となった。連結売上高は67.9億円、EBITDA(利払い前、税引き前、減価償却前)は当初の12〜17億円の赤字予想から上振れして7億円の赤字となった。

 「順調な滑り出しができた」と辻庸介社長。

SaaS ARRは対前年から42%増加して182.8億円となった

 業績の中心である法人向け事業は、売上高46%成長で引き続き高成長を継続した。変化があったのは、コンシューマ向けの家計簿ソフト「マネーフォワードME」を中心とするホーム領域だ。

 課金ユーザーは四半期で5.7万人増加し、46.1万人に達した。これにより売上高の伸びは見通しよりも11ポイント上振れし、対前年比37%増となった。その原因は、無料で提供するサービスの縮小だ。これまで無料ユーザーは10個の金融機関と連携できていたが、22年12月に4個に削減。一部のユーザーが課金にかじを切った

無料提供サービスの縮小により、課金ユーザーが一時的に急増

 このような理由のため、課金ユーザーの伸びは一時的だ。その後、2月には投資家に特化した月額980円の「資産形成アドバンスコース」もリリースしている。これがユーザーに受け入れられるかが、継続的な成長継続のための試金石となりそうだ。

フィンテックサービスがジワジワ拡大

 近い将来、次の収益の柱と見込む「SaaS x Fintech」領域の拡大も進んでいる。法人向けカードサービスの「Pay for Business」は、発行枚数が20万枚を超えてきた。既存の顧客基盤を生かすことで「26万社と会計事務所基盤を生かし、コストをかけずに利用者を増やせる」(辻氏)点が、同社の優位性だ。

 また4月には請求書のカード払いを可能にする「マネーフォワード 請求書カード払い for Startup」の提供も開始し、順次フィンテックサービスのラインアップを拡充させている。

フィンテックサービスのラインアップが徐々に拡充してきている

 会計システムのデータを生かした与信機能の提供や、会計システムにフィンテックサービスを組み込んだエンベデッドファイナンスの開発によって、既存の製品と相乗効果を生み出す狙いだ。

 これらフィンテックサービスの収益は、現状四半期で6.5億円程度の法人向けフロー売上に含まれており、対前年比46%増の成長を牽引している。

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