ドコモの通信品質低下を実感する機会が増えている一方で、社会インフラはさまざまな面でモバイル通信への依存度を高めています。
KDDIで22年7月に発生した全国規模の通信障害では、個人が契約している携帯電話やスマートフォンに限らず、宅急便サービスを展開するヤマト運輸のドライバーが所持する端末と通信が行えなくなる、ATM(現金自動払い出し機)が一部利用できなくなるなど、法人向けシステムにも影響がありました。
KDDIと同様にドコモのネットワークも多くのサービスを支えています。例えば、日本交通グループなどのタクシー車両に搭載される「JapanTaxiタブレット」はドコモのネットワークに接続されるため、ドコモに通信障害が発生すると、決済システム「GO Pay」が利用できなくなったり、「GO」アプリでのタクシー予約もできなくなります。
ドコモ系の赤いシェアサイクルも、その通信モジュールにはドコモ回線が使われているため、通信が利用できなくなるとこれも機能しません。普段は意識する機会が多く無いかもしれませんが、実に多くのサービスやシステムが、モバイルネットワークが正常動作することを前提に構築されています。
ドコモ回線でトラブルに遭遇した場合、機内モードのON/OFFや、地下街であれば屋外に出たりすると、通信環境が改善する場合がありますが、デュアルSIMに対応するスマートフォンであれば、ドコモ以外の回線に切り替えて通信をする方が確実です。
ドコモ回線をメインに使っている筆者としてはやや複雑ですが、レジ前で支払い用のコードが表示できずに「d払“えない”」になったり、飛行機やバスに乗車するためのQRコードが表示できずにうろたえるよりは、ずっとマシです。
時には、メインのドコモ回線に戻すことなく、そのままデュアルSIMのサブ回線をしばらく利用し続けている…ということもありますが、他キャリアで同様のトラブルが頻発することは、筆者の身の回りでは発生していません。
個人的に体験したことがある事例を紹介すると、4G LTEサービスがスタートするよりも前に、通勤で利用していた京王線の新宿駅で、朝夕のラッシュ時間帯にドコモの携帯電話が圏外表示(本来はエリア内)となったり、データ通信が非常に遅くなったりすることがありました。
個別のエリアにおける原因や対策については明らかにされていませんが、国内でも少しずつスマートフォンが普及していたこともあり、利用者やトラフィックの伸びに対応ができていなかったのではと推察しています。
このトラブルは、京王線新宿駅で4G LTE(Xi)サービスが始まったり、笹塚〜新宿駅間のトンネルがエリア化されるなどの対応で現在は解決しています(ひょっとしたら、ラッシュ時間帯にはパケ止まりが発生している可能性もありますが……)。
ドコモが5Gサービスをスタートしてから始まった一連のトラブルも、いずれは"そんな時もあったね"というように解決されることを願うばかりですが、悪化している通信品質についてはドコモ側で動きもあるようです。回線品質についてドコモ側に状況を確認したところ、タイミング良く26日にネットワークに関する記者説明会を実施するとの説明が。ネットワーク品質について何を言及するか注目する必要がありそうです。
ドコモがネットワークに関する説明会を26日に実施。ネットワーク容量に余裕のある5Gエリアを強化していく他、過渡期的な対策として、夏までにネットワークのチューニングを完了させると発表しました(詳細記事はこちら)。
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