日興アセットマネジメントが4月26日に設定を開始したネット専用の投資信託、「Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は、0.05775%という信託報酬の安さが特徴だ(記事参照)。これは、競合であり先行する三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim オールカントリー(全世界)」の信託報酬0.11325%(5月11日から)の半分程度にあたる。
一方で、Tracersオールカントリーの信託報酬には指数利用権などのコストが含まれておらず、その他コストとして別途0.1%を上限として徴収できるようになっているなど、複数の投資信託でコストを比較しにくい状況にもある(記事参照)。
日興アセットマネジメントは、なぜここまで信託報酬を抑えた投信を投入するのか。指数使用料を信託報酬に組み込まないのはなぜなのか。同社の商品開発部長兼ETFビジネス開発部長の有賀潤一郎氏に聞いた。
――日興アセットマネジメントは、レバレッジを組み込んだ「3倍3分法ファンド」など新たな仕組みを盛り込んだ、独自性の高い投信を作成する運用会社として知られている。今回、なぜ一般的なインデックス投信で、しかもコスト訴求型の「Tracersオールカントリー」を投入するのか?
有賀氏 「Tracersオールカントリー」はTracersシリーズの5本目にあたる。「こんなのほしかった」というコンセプトの中で、レバレッジ分散や配当貴族などユニークなものをやってきたが、その一つの形として、コアになるようなインデックスファンドを用意したいと考えていた。
もともとTracersシリーズは安いコストを目指して始まっている。その延長線上にあるものだ。
――競合のeMAXIS Slimオールカントリー(全世界)は運用残高が1兆円を超え、公募型投資信託の中でも規模がトップクラスだ。競合として意識したのか。
有賀氏 つみたてNISA、ネットの普及など、このビジネスへの期待規模も5年、10年前とは違ってきた。競争力のある商品を提供していく中では、コストも大きな要素だと考えている。
当社は、インデックスファンド運用会社としては古い会社で、1980年代からやっている。しかしネット専用を打ち出す会社としては後発だ。他社がどうというよりも、Tracersらしく、日興アセットの強みを生かしたい。
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