ITmedia NEWS >

最新記事も理解する……けど自信過剰? Google Bardの日本語版を使ってみた(1/3 ページ)

» 2023年05月11日 16時10分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 米Googleがチャット型AI「Bard」の日本語対応を発表した。現在、サイトにアクセスすれば、すぐに使えるようになっている。モデルも「PaLM」から最新の「PaLM 2」に変わっているというが、ChatGPTとどこが違っているのだろうか。ファーストインプレッションとして使ってみた。

最新情報もフォローする

 まずChatGPTには時事性のある質問をしてはいけない。例えば「ITmedia NEWSの最新記事にアクセスできますか?」と質問すると「申し訳ありませんが、私の能力は2021年までの情報に基づいており、インターネットには直接アクセスできません。」と、無理だと答えてくる。

 ただし「インターネットには直接アクセスできません」と答えてくるあたり、「ITmedia NEWS」がWebメディアであることは理解している。

ChatGPTは、2021年までの情報しか持っていないことを強調してくる

 ではBardはどうか。「ITmedia NEWSの最新記事にアクセスできるか」と聞くと、なんと「はい、ITmedia NEWSの最新記事にアクセスできます。ITmedia NEWSのトップページにアクセスすると、最新記事が表示されます。また、ITmedia NEWSの検索機能を使用して、特定の記事を検索することもできます。」と自信満々な答えだ。

 ただLLM(大規模言語モデル)のAIは簡単にウソをつくことで知られている。本当にできる? と思い最新の記事タイトルを挙げるよう依頼してみた。

Bardは最新記事もアクセスできる!と自慢してくる

 確かに『AIは著作権を持てるか……中国でバーチャルヒューマンの「権利」を巡る初の判決』の記事は5月11日の午前7時の掲載だ。そのほかも、昨日5月10日の記事が並んでいる。本当に最新の記事をチェックできているらしい。

 では中身は読めるのか? まず「記事のURLを教えてくれ」と頼んでも、「大規模言語モデルとして私はまだ学習中であり、そちらについてお手伝いできる機能がありません。」と返されてしまった。

 ならばと挙げた記事の中身を要約するように依頼してみた。

 おお! しっかり要約している! ……と一瞬思ったが、何かがおかしい。この記事は確かに還暦世代のキャッシュレス状況調査について記したものだが、そもそも還暦世代のキャッシュレス派は7割ではなく8割だ。さらに、記事の中には「キャッシュレス決済を利用する理由」は書かれていない。これはきっと、タイトルから想像される内容を、Bardが妄想している。

 絶対記事の中身は見ていないな? と思い、この記事はどこの調査に基づいているか聞いてみると……。

 やはり。本当はPGF生命の調査だが、それらしい調査元をでっち上げてきた。やっぱり記事の中身にはアクセスできていないのか? しかし、最後にもう一つ。別の記事の著者名を聞いてみた。

 おお。すごい。これはでっち上げではなく、ちゃんと記事を読んでいるのではないか? ちなみに浦上さんは、ITmedia NEWSの記者ではなく、外部の専門家であり執筆陣。なぜ余計な一言を加えたかは分からないけど。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.