「ソファの前に置くハイタイプのテーブルも出したんですけど、売れないんですよ。やっぱりソファは寝転んでテレビを見たりといった使い方が多くて、そうなるとテーブルが高いのは邪魔なんですよね。それに、友達が来た時なんかは、ソファに2人、床に3人座ってとか、普通にするじゃないですか。日本の文化的なこともあるのかもしれませんが、案外、床に座るというのも普通に行われていて、そうなると、低いテーブルがいいんですよね。だから、一部分がリフトアップするテーブルという形になりました」と江田氏。
全体が上がるのではなく、一部が上がる仕様なのは、耐荷重の問題が大きかったそうだ。確かに、作業をしようとすると、机にはかなりの力が掛かる。ノートPCを置くだけなら大丈夫でも、キーを打つし、手首を置くし、体重だって掛けることがある。
そうした状況に耐えるのに、テーブル全体を持ち上げるとすると、相当な強度の昇降システムが必要。それは、コスト的にも難しいし、何より重くなるし、組み立てにくくなる。通販が基本のLOWYAの製品は、ユーザーに組み立ててもらう必要がある。そうなると、重量や組み立てやすさも考慮する必要がある。
「ソファに2人並んで食事をとるというシチュエーションも考えたのですが、今回はそこは諦めて、サイズだったり、使用シーンというところを絞って、ある程度コアな層を狙って設計を作っていきました。汎用性と専用性というのも変ですけど、『この家具は、ここです!』みたいなところを大事にしたいと考えています。商品開発自体の考え方にもつながりますが、普通にご飯食べたいとか作業をしたいというテーブルであれば、世の中にたくさん存在するので、別に弊社が何かを開発する必要がないかなと思うんです」と江田氏。
そして、この製品、価格は3万9990円(送料無料)なのだ。安い。この辺りの思いきりの良さというか、コアな層に、ぴったりとハマる製品を作っていこうという姿勢が見える一方で、LOWYAの製品は、デザイン的には至って普通というか、ギミックを搭載した家具ですという主張とか、コアな層向けですという尖り方が感じられない。シンプルで、どちらかといえば「地味」と言ってもいいようなデザインに仕上がっている。
「お客様のお部屋の中でコーディネートを組むという前提でデザインするので、例えば、このテーブルだけ買った時に、デザインが特殊であればあるほど他の自分が持っている家具と合わせづらくなってしまいます。基本的には、家具を買い替えた時に合わせやすいように、極力デザインはシンプルに作ろう、というのはいつも心がけています」と江田氏。
この、普通に見える家具が実はギミック沢山という部分こそ、LOWYAの特長ではないかと思う。そして、それを可能にしているのが、ネットだけでの販売から始まったブランドだということ。
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