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「字幕大国ニッポン」でも役に立つ? DaVinci Resolve β版の文字起こし機能を試してみた小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2023年06月23日 12時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 4月17日より、Blackmagic Designの編集ツール「DaVinci Resolve」が次期バージョン18.5のパブリックβ版を公開している。例年では数回のβ版アップデートを経て正式版のリリースとなるわけだが、5月22日に公開されたβ3では、AIによる文字起こし機能で日本語がサポートされた。

 編集ツールにおけるAIによる文字起こしのトレンドは、すでに一度まとめているが、当時のβ版ではまだ日本語がサポートされていなかったので、DaVinci Resolveに関しては試していない。そこで今回は、DaVinci Resolveの書き起こし機能の実装について、実際に使って調べてみたい。

AIによる書き起こし編集機能

 DaVinci Resolveには、無償版のDaVinci Resolveと、有償版のDaVinci Resolve Studioがある。これまでバージョンごとに、対応解像度や使用できるノード数などで機能の差別化が行なわれてきたが、18.5ではAIによる文字起こしサポートの有無が無償版と有償版の主な違いとなる。つまりAIによる文字起こし機能を使いたければ、Studio版を購入する必要がある。これまでの差別化とはレベルが違うことになりそうだ。

 AIによる文字起こしは、メディア、カット、エディットの各ページで利用できる。今回はカットページで試してみる。DaVinci Resolve Studioの文字起こし機能は、編集時のガイドとして使用するためのものと、タイムラインに字幕トラックを生成するためのものの2つがある。

 まず編集のガイドとしての文字起こしだが、素材が登録されるメディアプールで文字起こししたいクリップを選び、右クリックする。メニュー内に「Audio Transcription」という項目があるので、そこで「Transcribe」を選択すると、文字起こしが始まる。現時点ではここだけ英語メニューだが、正式版では日本語メニューになるだろう。

メディアプール内のクリップを右クリックしてメニューを選択

 文字起こしは、だいたい10倍〜11倍速ぐらいで進行する。従って10分のクリップなら、だいたい1分ぐらいで終わる事になる。使用しているマシンは、M2 Pro搭載のMacBook Pro 16インチだ。文字起こしはクラウドではなくローカルで動いているので、マシンパワーによって速度の違いはあるかもしれない。

 ちなみにAVCHDの中身だけ取りだしたMTSファイルは、書き起こしできなかった。おそらくメタデータが欠落しているからだろうと思われる。AVCHDフォーマットの詳細はITmediaの別の連載「小寺信良のIT大作戦」で解説している。今回はMP4ファイルで書き起こしを行なっている。

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