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インタビュー
» 2023年06月28日 18時00分 公開

「GAFAが国のデータを独り占めしているという批判もあるが……」 日本の公共クラウド活用、AWSの目にはどう映る?(3/3 ページ)

[本多和幸ITmedia]
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「少し大変」な点も 国内SIerなどとの連携は

――宇佐見さんが仰る支援の「座組」には、日本のSIer(システム開発事業者)などとの協力も不可欠と思います。大手だけあって、AWSのサービス自体は比較的充実しているかと思いますが、エコシステムの強化は順調なのでしょうか

宇佐見 AWSには公共機関にサービスを提供する企業に特化したパートナープログラム「AWS 公共部門パートナープログラム」が存在します。プログラムがスタートした16年以降、参加パートナーの数は継続して増えています。特に直近の伸びは顕著で、21年から22年にかけては前年比40%以上増加しています。

――具体的に、パートナープログラムではどのような形でパートナーを支援しているのでしょうか

宇佐見 いくつかパターンがあります。まず、民需のビジネスではクラウドを手掛けているけれども、公共向けビジネスではクラウドを扱ったことがないというパートナーの場合です。スタートアップへの支援と重なる部分があるのですが、そうしたケースでは公共機関による調達の仕組みの解説から始めて、参入のハードルを一緒に超えていくイメージです。

 一方で、公共向けITビジネスの実績は豊富だけれども、クラウドは全然やったことがないというパートナーもいます。この場合は少し大変です。少人数のスタートアップが、新しいことをやるために必要なスキルと知識を持つ社員を新たに雇うというのは比較的容易です。しかし、ある程度の歴史を持つ大規模なベンダーで、公共担当のエンジニア全員に短期間でクラウドを理解してもらうというのは簡単ではありません。

 若い世代はそもそもクラウドでITに初めて深く触れる、文字通りの「クラウドネイティブ」な状態です。一方で一定以上の世代の方には、最新のクラウドを翻訳して「このサービスは昔のメインフレームでいうとこの機能に近い」というように説明することもあります。

課題は「地方と大都市圏の格差にどう向き合うか」

――公共分野に限らず、地方と大都市圏の間でITの活用状況には大きな格差があり、その格差はどんどん広がっている印象です。行政におけるデジタル活用を底上げしていくために、AWSが取り組むことを教えてください

宇佐見 その課題は大きいと認識しています。実際にAWSのスタートアップ支援プログラムなどに参加している企業も、地図上で見ると圧倒的に東京をはじめとする大都市圏に拠点を置く企業が多い。一方でユーザーである自治体はそうはいきません。多様な課題が全国に散らばっているわけです。

 一言で表現すれば、やはり課題とソリューションのマッチングをしっかりサポートしなければならないと考えています。Amazon.comがECで世界の顧客にモノを売れる環境を提供しているように、公共分野でも必要なソリューションが必要なユーザーに届く仕組みが必要だと思っています。

――今後、AWSジャパンの公共向け部門としては、ガバメントクラウド上で稼働するシステムを含め、できるだけ多くのシステムがAWS上で稼働することを追求していくのでしょうか?

宇佐見 たくさんの自治体に使ってもらうというのが、ビジネス上の収益や利益だけを考えれば一番分かりやすい目標です。とはいえ、当然ながら公共分野ではそれだけを追求すれば良いわけではない。社会にどれだけ貢献できるかという視点の提案が不可欠だと思っています。

 クラウドサービスベンダーは各社ともサービスが常に進化しています。もはやスペックの比較で評価できるのはごく限られた部分でしかない。そこにコストも含めて比較するのは非常に難しいので、AWSを使ってもらうことで何が実現できるのかを示さなければなりません。

 例えば、従来にないデータ連携により利便性が上がったとか、住民目線で行政サービスの変革が実感できるようにすることが重要かもしれません。そうした進化・変革を自治体が継続していくためにどんな支援ができるかが、われわれベンダー側にも問われていると考えています。

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