しかし自動計量できる炊飯器は、美味しく炊くためのハードルが高かった。同社の既存炊飯器は3合炊き、5.5合炊き、そして1升炊きと容量が大きく、2合炊きに関する知見がなかった。さらに無洗米の特性に合う炊飯プログラムも、ゼロから開発する必要があったという。
「今回、2合炊きを選んだ理由は、5.5合炊きの炊飯器でも2合、3合で炊いている家庭が多いという当社のマーケティング結果があり、本体のサイズを加味した結果です。今回の製品は米と水のタンクを搭載するので、どうしても大きくなってしまいます。日本のキッチンは狭いので、2合に絞りました」(冨江さん)
また初めて発売するタイプの製品だけに、販売価格も5万円以内に抑えたかったと冨江さんは語る。「自動計量IH炊飯器」のメインのターゲットは仕事で忙しいDINKS世帯を想定している。とはいえ実際に先行体験プログラムに参加したユーザーへのヒアリング結果では、単身者や小さな子どものいる家庭でも十分に使えるという評価を得たそうだ。
しかし開発は容易ではなかったという。企画段階で、現在の形に近いイメージは出来上がっていたそうだが、自動で計量し、炊飯する工程にはいくつかのハードルがあった。
「水平、垂直のデザインの実現に向けて大村さんとアイデアを出し合い、苦労しながら作り上げました。また表面の質感を実現するのも、かなり難しかったですね」(吉田さん)
「一番大変だったのは、このサイズの製品にタンクやおひつの加熱部といった各機構を収めることでした。またIH加熱のための、コイルと内釜の距離は炊飯性能にも関わってくるので萩さんとやり取りしながら作っていきました」(大村さん)
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