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計量の手間を省くパナ「自動計量IH炊飯器」はどうやって生まれたか アイデアは40年前から、今なぜ実現?知らないと損!?業界最前線(5/5 ページ)

» 2023年07月17日 07時00分 公開
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合から杯へ、ごはんの炊き方が変わる

 アプリでの容量指定と自動計量は、炊飯において利点もある。例えば一般的な炊飯器の場合、炊飯容量の違いは沸騰までの時間などを温度センサーが検知して分かるのだが、「自動計量IH炊飯器」の場合、炊飯以前に炊飯量が分かるため、分量を元に繊細な火力調整ができる。このため小容量でも美味しい炊飯を実現できるのだ。

 「アプリに関していうと、これまでの1合、2合という単位から、今回はお茶碗に1杯、2杯という単位になった点がエポックメイキングだと思っています。今までの炊飯器にとらわれない考え方があのアプリの中に入っていて、それも使いやすくなった要素の1つかなと考えています」(吉田さん)

アプリ画面では、炊飯量をお茶碗によそうごはんの量で設定できるため、非常にイメージしやすい。銀シャリは最小で小盛り2杯(0.5合)から、おかゆは0.25合から炊ける

 実際に「自動計量IH炊飯器」を使ってみたが、新しい炊飯体験だと感じた。これまでご飯を炊くときは事前にタイマー予約をするか、炊飯の1時間以上前にお米を研いでセットしておく必要があった。忙しい日に冷凍ご飯がなく、しかし1時間待てず、途方に暮れたことがある人もいるだろう。

 しかし「自動計量IH炊飯器」なら、米を研いで、お釜をセットするという工程なしに、スマホ操作だけで炊飯できる。この手軽さが想像以上に快適だった。

 炊き上がったごはんは、米の銘柄を引き出した非常に素直な食味。IH加熱なので芯までしっかり熱が入り、自然な甘みが引き出されている。同価格帯の一般的なIH炊飯器と比べても、遜色のない出来だ。内釜を包んでいるおひつを食卓に持ってきて、その場でお茶碗によそうのも、懐かしさと同時に新しさを感じる。

「自動計量IH炊飯器」の炊飯では、旅館のように食卓におひつを置いて食事するスタイルになる。それもあって、本体をシンクの近くに置く必要がない。これも先行体験プログラムで評価が高かったポイントだ

 自動計量IH炊飯器は、2合炊きで、保温機能は搭載せず、無洗米専用と、非常に個性の強い製品だ。このためライフスタイルに合うかどうかが、はっきり分かれるだろう。しかし自動計量の手軽さを一度味わうと、これまでの計量炊飯が面倒な気持ちになる。それぐらいに大きな気持ちの変化を体験させてくれた。

 このモデルをきっかけに3合炊き、5合炊きと大型化が実現すれば、より多くの家庭への普及もありそうだ。

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