「自動計量IH炊飯器」は、計量した米を上部から落とす必要があるため、内釜の入ったおひつは水平に出し入れする構造となっている。これを実現するため鍋底の温度センサーは、鍋底をこすりながら最終的に内釜と接触する仕組みになっている。大村さんはおひつの出し入れ時にこのセンサーが正しく内釜と接触し、安定した温度検知ができるよう、センサーの出ている長さやバネの巻き数など、細かく調整を続けたそうだ。
「かなりコンパクトな設計のため、従来の炊飯器とは、釜の大きさや形も異なります。このため今まで使っていた鍋底センサーが使えませんでした。代わりに小さいセンサーを導入したのですが、内釜とうまく接触できないと、温度検知がうまくできず、炊飯のたびに出来上がりが異なってしまいます。いつでも同じ美味しさで炊けるようにと、大村さんに修正を依頼し続けました」(萩さん)
さらに炊飯プログラムも、無洗米用に新たに書き起こした。一般的な炊飯器は釜に米を入れたあとに水を入れるが、今回の炊飯器では計量の誤差が大きく、うまく炊けなかった。ある時、先に水を入れてから米を入れる仕組みに変えたところうまくいったそうだ。事前にアプリで炊飯容量を決めて、自動計量を行うからこそ、実現した仕組みだった。
「炊飯量が少ないことと、無洗米の特性に合わせるのが大変でした。計量前に炊飯量が分かるので、炊飯量に応じて沸騰にかかる時間を火力を調整して合わせています。また無洗米は、水の入り方やおねばの出方が違います。それらを調節していきました」(萩さん)
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