チャットAI「ChatGPT」を中心に、言語生成AIの利用が急速に進んでいる。個人利用にとどまらず、さまざまな企業や自治体が利活用の方針を打ち出している。国内でもリコーやNEC、富士通など大手ITベンダーを中心に独自の大規模言語モデル(LLM)の開発に乗り出す企業が増えてきている。
ChatGPTの出現から7カ月超、自社でLLMの活用を目指す企業は、今どのように動いているのか。日本語特化LLMを開発する東大発ベンチャー・ELYZA(東京都文京区)の曽根岡侑也代表取締役は「大きく2つの流れができている」と話す。
曽根岡代表が1つ目に上げたのは「社会実装に特化した動き」だ。米OpenAIや米GoogleなどのAIモデルを活用し、自社の業務効率化や新サービス・新機能開発を推進する動きが一部企業で活発化している。
例えば、パナソニックグループのパナソニックコネクト(東京都中央区)のように、GPT-3.5がベースのAIアシスタントを国内の全社員向けに提供するなど自社の業務効率化に活用する企業が増えている。また、AIチャットbotを提供するギブリー(東京都渋谷区)など、スタートアップ企業を中心にGPT環境を提供するサービスのリリースが続いており、それらを利用する企業や自治体もいる。
曽根岡代表は「これらの企業のように、全社的にLLMを触り、社内の特定業務の活用に向けた取り組みや人材育成を始める企業が徐々に増えてきている。一方、まだ成功・失敗事例などはあまりない状態」と指摘する。
一方、他社製のAIモデルを活用する場合には留意点も。例えば、AI開発元やインフラ提供元に払うコストは“少なくない”という。「GPT-4などであれば、売上粗利率50〜60%になることが多い」(曽根岡代表)。またOpenAIなどのAIモデルには、一定時間の利用量に制限があるため、その点も確認しなくてはいけない。
何より、多くの企業が同じAIモデルを使っていることから、簡単な機能はすぐに模倣されてしまう。曽根岡代表は「GPTを利用したサービスが乱立しているのは、おそらく今の時期だけ。OpenAIやMicrosoftがエンタープライズ版のサービスを正式リリースしたときには、そちらに流れる人が多いのでは」と話す。
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