ITmedia NEWS > AI+ >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

生成AIで俳句をムービー化 「蛙飛び込む水の音」をどう表現? 試したら“童謡”ができた!?遊んで学べる「Experiments with Google」(第37回)(1/3 ページ)

» 2023年07月29日 09時00分 公開
[佐藤信彦ITmedia]

 テクノロジーは常に進歩していくものだが、ここ数年、特にこの半年間の変化は目まぐるしい。そう、生成AIがすさまじい速度で進化しているのだ。

 筆者も実際に使っている。例えば登場後すぐ話題になった画像生成AI「Midjourney」の出力結果には驚かされた。米OpenAIが22年11月にリリースした対話型AI「ChatGPT」の出力文は、人間が書いているのではと疑いたくなるくらい自然だ。入力した文章から絵や文章を生成するAIは以前から研究されていたが、一般の人でも使えるAIが増えたうえに精度が向上している。

 大手IT企業も注目しており、米Microsoftは検索エンジン「Bing」にChatGPTの技術を組み込んだ。これに慌てたのか、米Googleも実験的な対話型AI「Bard」の公開に踏み切った。ほかにも多くのプレーヤーが加わり、生成系AIや対話型AIの分野が活気づいている。

 生成AIの応用例にはどのようなものがあるのだろうか。そう思って、この連載で紹介してきたGoogleの最新技術ショーケース「Experiments with Google」で探したところ、23年5月に公開されたAIコンテンツまとめを見つけた。連載37回目の今回は、その中から俳句をAIで映像化した「Haiku Imagined」を取り上げる。

photo 俳句を基にAIが作った映像などを楽しめるHaiku Imagined(出典:Google)

春夏秋冬の16句を映像化 情景を描けるのか?

 Haiku Imaginedは、俳人が俳句で描いた情景に合うであろう映像や音楽などをAIで生成して表示するコンテンツだ。Webアプリなので、実際に動かしてAIの腕前を確かめてやろう。

photo WebアプリなのでPCやスマートフォンのWebブランド上で動かせる

 起動すると残念なことが判明する。Haiku Imaginedには好きな俳句を入力して映像化したり、自作の俳句に音楽を付けたりはできない。事前に作られた俳句の映像を、見て楽しむだけだ。

 選ばれた俳句は春夏秋冬の季節ごとに4句あり、合計16句。上から春、夏、秋、冬をテーマにした俳句で、左にあるものほど古い作品だ。左2列の8句は室町時代から江戸時代にかけて日本の俳人が詠んだもの。右2列の8句は近代の米国人詩人が詠んだ英文俳句だ。

photo 上から春夏秋冬をテーマにした俳句。左にいくほど古い作品

 どれか1句選ぶと句が英語で表示されるとともに、情景をイメージした映像と効果音が流れる。句の上にあるボタンをクリックすると、AIの作った音楽が再生される。

 日本語の作品は英訳版とローマ字版を切り替えて読み比べられる。また、作者名をクリックすると解説を読めて、作品や作者の背景を学べる。

春の句:かきつばたの雰囲気をうまく映像化

 ここからは実際に俳句を見てみよう。最初は左上にある、春がテーマの一番古い句にする。表示されたのは次の英文だ。

The dream I dreamt has faded, but
The iris keeps its colors yet.

 これは江戸時代中期に活躍した大目秋色(おおめしゅうしき)という女流俳人の作品で、辞世の句だそうだ。元の俳句「見し夢の さめての色の かきつばた」をうまく英語に訳している。AIが作った映像も句の雰囲気に合っていると感じた。

 一方でAIの作った2つの音楽は、どちらも江戸時代の日本というより、オリエンタル風味。個人的には合わないと思うが、どうだろう。

photo 夢で見そうなかきつばた
大目秋色の俳句「見し夢の さめての色の かきつばた」をAIが映像化した。全体的に悪くない
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.