日本の心を表現するには、自分でやるしかない。せっかくならGoogleが公開しているAIを使いたい。ところが、記事執筆時点では適切なAIを使えなかった。
Googleは画像生成AI「Imagen」を開発しているものの「現時点では公共の使用には適していない」として公開していない。
文章から音楽を生成するGoogleのAI「MusicLM」はすでに公開されている。早速、待機リストに登録したがすぐに使える状態にはならなかった。
仕方がない。手軽に使える他のサービスを利用しよう。
まず、俳句の画像化にはLINE上で送った文章から画像を生成する「お絵描きばりぐっどくん」を使った。松尾芭蕉の「古池や 蛙飛びこむ 水の音」と「枯枝に 烏のとまりけり 秋の暮」を入力して生成された画像は、それぞれ以下の通りだ。なかなかわび・さび味のある画像ができた。
音楽の生成には、日本語の歌詞に適した「CREEVO」を選んだ。歌詞を入力すると3曲生成され、気に入ったものを選べる。
「古池や……」「枯枝に……」の2つで生成を試した。童謡風で江戸時代らしさはないが、懐かしい日本らしさがあって見当違いではない。
日本語では上手にできたが、英語はどうだろう。そこで、英語の歌詞から音楽を作るAI「SongR」を使ってみた。
操作は簡単。作りたい曲のスタイルを「Hip hop」「Cafe」「Piano Rock」「Pop」から選び、歌詞を入力して、男性または女性のどちらの声を使うか決めるだけ。
わび・さびからは懸け離れてしまったが、良い曲になった。お絵描きばりぐっどくんで作った画像と合わせてビデオにしてみた。
Haiku Imaginedを開発したのは、Google Arts & Culture LabのアーティストであるLynn Cherny氏とChristine Sugrue氏。Googleが研究している生成系AIの成果を活用し、映像や音楽を作った。
最新技術を利用したとはいえ、俳句や日本画などの情報をしっかり学習させないと、わび・さびを表現するのは難しそうだ。AIの使いこなしには学習や調整が重要だと再認識できた。
最後に、GoogleのBardに俳句を詠ませてみた。「『カエル』と『池』を使って、俳句を作ってください」という入力に対し、出力したのは次のものだ。
カエルが飛び込む
池の水が波紋を広げる
夏の午後
文章はそれらしいが、五七五という俳句のルールから逸脱している。「他の回答案を表示」をクリックして繰り返しても、出てくるのは次のような具合で、かえっておかしくなってしまった。
池のほとりで鳴く
カエルのゲロゲロ声
心地よい夏の夜
カエルが飛び込む
池のほとりで鳴く
ゲロゲロゲロ
試しに英語で「Please make a haiku poem with words "frog" and "pond".」と問いかけたら、下記になった。こちらの方がわび・さびを感じられる。
Frog jumps into pond
The water ripples, then stills
A new sound is born
やはり「馬鹿とAIは使いよう」で、この種の生成AIを使いこなすには優秀なプロンプトエンジニアが必要なのだろう。
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