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不安しかない「CHAdeMO」の未来 日本発のEV充電規格は、無事生き残れるのか走るガジェット「Tesla」に乗ってます(4/4 ページ)

» 2023年09月09日 15時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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「電池渋滞」は最新CHAdeMOで減りそう?

 23年に入ってから、高速道路のパーキングエリア/サービスエリア(PA/SA)のCHAdeMO充電器の拡充が始まっています。次の写真は、6台同時に充電可能な中央自動車道の双葉SA下りに設置されたニチコン製のCHAdeMO充電器です。個々のストールの最大出力は90kW(最大15分まで)ですが、200kWをシェアする仕組みです。

6口あれば、さすがに充電渋滞が発生することはないと思うのだが……

 このニチコン製充電器は、大手充電プロバイダーの「e-Mobility Power」が他のSAにも設置を進めているので、CHAdeMOの充電環境も今後、改善が見込まれると期待しています。充電渋滞の解消に一役買ってくれるでしょう。

 ただ、この複数同時充電可能な充電器は、Tesla専用のCHAdeMOアダプターとの通信規格の不整合から、最大で20kW程度の充電速度に制限されていました。筆者が以前、大黒PAに設置された同じタイプの充電器で試したところ、バッテリー残63%の状態で最大9kWという情けない状況でした。

CHAdeMOアダプターのアップデート前は9kWというトホホな出力。80%まで約45分かかる

 そのためTeslaユーザーは、充電渋滞の心配が少ないニチコン製6口充電器の恩恵にあずかれないと落胆していたのですが、Tesla JapanがCHAdeMOアダプターのアップデートプログラムを開始しました。アダプターのソフトウェアを更新することで、アダプターの最大容量である50kWでの充電が可能になるとのことです。

アップデート後は、46kWと実行速度としてのフル出力。80%まで約15分

 このアップデートはOTA(Over The Air)では無理で、横浜市戸塚区にあるサービスセンターに出向き対応してもらいました。作業は、10分程度で完了です。

 さっそく、その足で、大黒PAに出向き充電テストを実施したところ、写真のようにバッテリー残67%の状態で46kWと、実効速度としてはフルの性能を発揮しています。

 バッテリー残60〜70%の場合、80〜90kWで充電可能なTesla専用の充電器「スーパーチャージャー(SC)」と比較すると出力に不満は残りますが、それでも、充電渋滞への杞憂や高速道路を一時退出することなく、30分の充電時間で約120〜140km分が充電できるわけですから、いざという時の保険として考えればありがたい存在です。

著者プロフィール

山崎潤一郎

音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla


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