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そろそろ進化にも限界? 変わりゆく「アクションカメラ」の今、各社の最新モデルからひもとく小寺信良のIT大作戦(1/4 ページ)

» 2023年09月26日 19時00分 公開
[小寺信良ITmedia]

 アクションカメラというジャンルを切り開いたGoProが登場したのは、2010年のNABのことだった。車に詳しいカメラマンが、希少なレーシングカーが展示してあるというので一緒に見に行ったのだが、モノはといえばちゃっちいMP4カメラで拍子抜けしたものだった。

NAB2010で初出展した当時のGoPro

 写真からも分かるように、当時は3D映像の黎明期で、横に並べれば3Dになるとアピールしていた。だがそれよりもカメラ1台たったの300ドルで、「映像さえ無事ならカメラは使い捨て」という明確なコンセプトが業界に衝撃を与えた。その後価格の安さから、ストリートスポーツプレイヤーがメインのユーザーとなっていった。

 小型で頑丈と言うことなら日本のお家芸ということで、数年後に国内メーカーも参入したが、現在は全て撤退。現在の主力はGoPro、DJI、Insta360の3社で、例年夏から秋にかけて新モデルが登場している。この9月にGoProの新モデルHero12が登場し、2023年も新作が出そろったところだ。そこでアクションカメラのここ数年の歴史を振り返りつつ、トレンドを分析してみたい。

アクションカメラでもトップを狙うDJI

 DJIは言わずと知れたドローンのトップブランドだが、小型カメラやジンバルなど、地上で使う製品も多い。小型カメラとジンバルを組み合わせたDJI Pocketシリーズは、取材に便利だとして購入したライターも多かった。ただアクションカメラへの参入は意外に遅く、2019年に「DJI Osmo Action」で参入を果たした。

2019年の「DJI Osmo Action」

 初号機はGoProと同じような形状で、独自のマウントアダプターを介してGoProマウントが利用できる。正面にもディスプレイを設けて、自撮りしたときにアングルが確認できるのがポイントだった。価格もGoProより1万円安く設定され、初号機としてはまずまずのスタートだった。

 2021年に登場した「DJI Action 2」は、カメラ部とバッテリー/ディスプレイ部が分離できる、ユニークなカメラとして登場した。カメラユニットだけでも動作し、GoProよりも小さいカメラとして使う事ができる。合体すると縦型のカメラとなるのも新しかった。

カメラとディスプレイ・バッテリー部が分離できるAction 2

 2022年発売の「DJI Osmo Action 3」は、初代Osmo Actionと同型ではあるが、初代とは全くの別設計となった。前面ディスプレイでもタッチ操作が可能になり、マイクも増え、縦撮りにも対応するなど、考えられる機能を全て詰め込んだ。

弱点のない作りの「DJI Osmo Action 3」

 そして23年の新作「DJI Osmo Action 4」は、3を継承しつつ、センサーを大型化した高画質モデルとして登場した。センサーサイズが違えば当然レンズ設計も異なるが、画角などは同スペックとなっている。高画質化は重要なポイントではあるが、逆に言えばそれ意外にポイントがなく、これ以上やれることが見つからなかった感がある。

センサーを大型化した「DJI Osmo Action 4」

 高画質化のニーズがあったのは、もはやアクションカメラは映像ブレブレの激しいアクションを撮るものではなくなってきたということでもある。小型・広角を生かした定点観測であったりVlog撮影であったり、スマホ撮影でできない部分を補助するセカンドカメラという立ち位置が見えてくる。3で縦撮りを大きくフィーチャーしたのも、ターゲットはTikTokのようなスマホプラットフォームにフォーカスする狙いがある。

 製品名の中で唯一Action 2だけ「Osmo」が付いていないのは、これだけかなり特殊なカメラという位置付なのだろう。1、3、4がスタンダードモデルなので5も同様になる可能性も高いが、次は2のようなユニークなモデルを期待したいところだ。

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