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パナを追うソニーも新製品を続々投入(ただし来年) 「IBC2023」で読み解く放送IPの最新動向小寺信良の「プロフェッショナル×DX」(1/3 ページ)

» 2023年09月29日 18時30分 公開
[小寺信良ITmedia]

 国際放送機器展と名の付くものとしては、例年4月に米国ラスベガスで開催される「NAB」がよく知られるところだが、ヨーロッパではオランダのアムステルダムで開催される「IBC」も大きなイベントである。今年は9月15日から17日の日程で開催された。

 日本であまりIBCでのニュースが報じられてこなかったのは、日米とヨーロッパでは放送方式が違うため、機材が違うから、というのが大きかった。だが放送もネット配信が当たり前になったことで、あまり解像度やフレームレートの違いは問題にならなくなった。

 筆者はあいにくIBCには取材に行っていないが、映像機器メーカーからはIBCに向けたプレスリリースが盛んに送られてくる。今回はその中で、IPやクラウドに関係ありそうなニュースをまとめてみたい。

クラウド上でダイレクトに映像編集できるツール

 米国ボストンのソフトウェア企業axle.aiが、クラウド上のファイルを直接編集できるツール「axledit」をヨーロッパ向けに公開した。AI技術を使い、顔認識やオブジェクト認識、企業ロゴ認識、音声のテキスト起こしといった機能を提供する。

 これだけなら「ほーん」という話なのだが、このaxleditが以前ご紹介した「Atomos Edit」の元ネタだったようだ。axleditをAtomosのクラウドソリューション向けにインテグレートしたものがAtomos Editというわけである。

「axledit」のUI。Atomos Editと同じ

 従って今回発表のaxleditに搭載されるAI機能も、ゆくゆくはAtomos Editで利用できる可能性が高い。同社のAIはオンプレミスにインストールして利用する事ができるとしており、機密情報を扱う官公庁や企業の研究・開発セクションでも利用しやすいだろう。現在axleditの公式サイトよりアカウントを作れば、無償でaxleditが利用できる。

 元々axle.aiは映像をAIで解析してマネージメントできるようにするという、オート・タギングを得意としてきた企業だ。現在デスクトップアプリの編集ツールではAI解析機能を持つものが増えているが、クラウドベースの編集ツールでここまで高機能なものはまだ少ない。

 とはいえ、こうしたシステムソリューションをベンチャーが一手に引き受けるということは考えられず、要するに「どこと組むか」で大きく話が変わってくる。まずはAtomosから、ということなのだろう。

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