IBCでソニーが発表した製品はいくつかあるが、IP・クラウドベースの製品としてはリモートプロダクションユニット 「CBK-RPU7」がある。これはカメラ後部に取り付けるユニットで、ソニー独自開発のコーデックチップにより、HEVCによる高圧縮と、5G通信での低遅延伝送を実現する。発売は2024年春以降となっている。
発表段階では、5G通信はローカル5Gとプライベート5Gに限られ、パブリック5Gでの伝送は24年の秋以降の対応となっている。対応デバイスは現時点では「Xperia PRO」のみで、今後対応機種を増やしていくという。
ローカル5Gやプライベート5Gはすでに多くの検証が行なわれ、実用段階にある技術だが、無線局免許を取得したり資格者が必要だったり敷設工事が必要になるため、常設で吹いているとことはすでに別の目的で使われているはずだ。ただ5Gによる映像伝送が一般化すれば、大型イベントホールなどでは常設するところも出てくるかもしれない。
もう1つIP関連の製品として、ソフトウェアスイッチャー「M2L-X」がある。以前からM2 Liveというクラウドベースのソフトウェアスイッチャーがあったが、M2L-Xはクラウドでもオンプレミスでも動作するのがポイント。
操作は専用UIから行なうが、来年秋以降にはICP-Xシリーズのハードウェアコントロールパネルにも対応予定。ICP-Xシリーズのコンパネは大型スイッチャーのXVSシリーズ向けのものだが、コンパネは1M/Eタイプもある。
プロトコルはNDI、SRT、RTMPなどに対応、またソニー独自のQoS(Quality of Service)にも対応するが、これは来年秋以降とされている。HDRにも対応するが、これも来年秋以降だ。
期待の機能はほぼ1年後だが、このタイミングで発表したのは他社に発注が流れるのを食い止める意味もあるだろう。この分野ではすでにGlassValleyのAMPPやパナソニックのKAIROSが先行しているが、ソニーではハードウェアスイッチャ「MLS-X1」と連携できるという強みがある。MLS-X1のコントロールパネルはICP-Xシリーズが使えるので、共通だ。
まずは既発売でIPにも対応できるMLS-X1で切り込み、1年後にソフトウェアスイッチャーでシステム拡張できますよ、というシナリオだろう。
例年11月に日本で開催されるInterBEEでは、IP関係の展示も次第に大がかりになっており、放送以外はみんなIP、という動きが加速しそうだ。今年は11月15日から17日まで、千葉幕張メッセで開催される。実際に動いている状態が見られるという貴重な機会なので、足を運んでみてはいかがだろうか。
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