欧州連合(EU)の欧州委員会で産業政策などを担当するティエリー・ブルトン委員は10月10日(現地時間)、米X(旧Twitter)のオーナーであるイーロン・マスクCTOに宛てた書簡をXにポストした。
ブルトン氏は書簡の画像に「イスラエルに対するハマスによるテロ攻撃を受け、EU内で違法なコンテンツや偽情報を拡散するためにX/Twitterが使われている兆候がある」というコメントを添えた。
Xは、EUが7月に可決し、今年8月に発効したDSA(デジタルサービス法)の対象となるプラットフォーム企業。DSAは、プラットフォーム企業に対し、違法コンテンツ、偽情報などの社会的リスク拡散に取り組む義務を定めるものだ。
ブルトン氏は書簡で、X上では、例えば今回の攻撃には無関係な武力紛争の古い画像や、ゲームの軍事映像を使った偽情報が拡散しているとの多数の報告があり、Xはプラットフォームとしてこの問題に「適切で効果的な緩和策を講じる必要がある」と指摘。
さらに、DSAのコンプライアンスに関する問題についてのリクエストに対し、24時間以内に対応するよう要請した。「違反が判明した場合、罰則が課される可能性があることを思い出してほしい」。違反の罰則は、数十億ドルの罰金になる可能性がある。
このポストに対し、マスク氏は「われわれのポリシーは、すべてがオープンソースで透明性があることであり、EUもこのアプローチを支持していると認識している。あなたがほのめかした違反をリストアップして、一般の人々が確認できるようにしてください」とリプライした。
これに対し、ブルトン氏は「あなたは偽情報や暴力の美化に関する報告を(既に)受けているはずだ。自分が有言実行の人であることを証明できるかどうかはあなた次第だ」とリプライした。
X上では英BBCのロゴを使ってBBCの記事に見せかけた「ウクライナ政府がハマスに武器を提供した」と報じる偽投稿などが報告されている。
BBCのジャーナリスト、シャヤン・サルダリザデ氏は8日、「私は何年もTwitterで事実確認をしてきた。大事件の際には常に誤った情報が大量に発生するものだ。だが、過去2日間の虚偽投稿の洪水(その多くはTwitter Blue経由で後押しされたもの)は別ものだ。ファクトチェッカーもコミュニティノートもこれに追いつくことができていない」とポストした(Twitter Blueは現X Premiumのこと)。
マスク氏自身も8日、虚偽情報を投稿していると報告されている2つのXのアカウントを「戦争をリアルタイムで追跡するには、これらのアカウントをフォローするのが最適だ」と投稿し、批判をあびてその後この投稿を削除した。
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