国会内の岸田首相事務所に電話で取材しようとしたところ「取材は全てFAXでお願いしている」と言われた。
そこで改めてFAXで「『STOP!インボイス』の署名は、署名団体と首相秘書官との合意の元で、USBメモリで手渡されたと聞いているが、セキュリティリスクについてどう考えているか」などと尋ねると、2営業日後に以下の回答が来た。
「USBメモリは署名団体の都合で持参したものであり、当方の意思ではない。合意の元とする伝聞は事実ではない」「USBメモリは一時預かったにすぎず、直ちに所管の行政組織に渡している。その組織で、システム担当部署が所定の手続きに従いチェックしていると聞いている」
首相秘書の回答とSTOP!インボイスの主張がズレているため、USB受け取りの合意の有無を再確認するとともに、渡した先の「所管の行政組織」とはどこかなどを改めてFAXで聞いたが「当方の認識は、すでに回答している通りです」という1行のFAXが、2営業日後に届いただけだった。
日本では、オンライン署名も紙で提出されることが多いという。「日本の政治行政機関の習慣上もまだまだ紙の書類でのやりとりでの存在感が大きく、提出時のインパクトという意味で紙での提出が選ばれる場合が多い印象だ」(Change.orgの担当者)。
ただ、USBメモリに格納された署名を政府が受け取った例は、過去にもあるという。22年1月、在外ネット投票を求める署名活動で、海外在住の日本国籍を持つ市民グループが2万6027人分の署名簿を林芳正外相(当時)にUSBメモリで提出(Change.orgスタッフが代理で提出)。この時も、USBメモリで渡すことについて事前に確認を取ったという。
民間企業への署名提出では、アップローダーを使った例もある。21年11月、テレビゲーム「天地創造」のアーカイブ配信を求める署名活動で、事前協議の上、スクウェア・エニックスが指定したアップローダーにPDFファイルをアップロードする形で、1万人超の署名簿を提出したという。
Change.orgの担当者によると、海外の一部地域――例えばドイツでは、環境負荷の配慮から紙での署名簿提出はむしろ避けられる傾向にあるという。
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