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「バリスタみたいな存在に」 アプリが淹れ方をエスコートするコーヒーメーカー「DRIP POD」にUCCが込めた思い分かりにくいけれど面白いモノたち(2/5 ページ)

» 2023年10月31日 13時01分 公開
[納富廉邦ITmedia]

コーヒー豆の“ありのままの味”を楽しんでほしい

 ドリップポッド全体のプロジェクトを担当している、ドリップポッド ブランドマネージャーの小牧美沙さんに話を聞くことができた。

「実は2015年に最初の『ドリップポッド』を作るまでは、マシン専属で開発するチームもなければ、カプセル自体も何かもとになるものがあったわけでもなく、本当にゼロから始めたんです。なぜ、知見も経験もないのにこういうことをやろうと思ったのかというと、自分たちが扱っているコーヒー豆の、“ありのままの味”を楽しんでいただきたいと考えたからなんです」

「ホンジュラス&コロンビア」のカプセル。価格は12杯入りで998円(公式ストア販売価格)。このような形で産地をメインにしたブレンドやシングルオリジンがある

 豆を購入した家庭には、それぞれの淹れ方があって、それぞれに楽しんでいる。それで良いのだけれど、豆を扱っているメーカーとしては、豆を選び、焙煎やブレンドを設計するに当たって、淹れた状態の味から逆算して作る。ならば、その想定した味を伝えたいと思うのは当然だろう。

「あとは、やっぱりコーヒー・エントリーにおすすめというか、好きなんだけど味の違いがよく分からないとか、ブルー・マウンテンはこういう味、モカはこういう特徴といったことへの取っ掛かりがないと思ってらっしゃるお客様に、コーヒーの楽しみ方を知っていただくきっかけになるんじゃないかとも思っています」と小牧さん。

 つまり、この製品は豆がまずあって、その分量、湯量、温度、淹れ方までをパッケージングしたマシンなのだ。これは、コーヒービジネスの全体を扱うメーカーでないと思いつきにくい発想だ。そして、筆者が思っていたコーヒーメーカーという存在の曖昧さがほとんどない。マシンでコーヒーを淹れることに明確な意味と意志がある。「おいしいコーヒーが簡単に飲めます」「最高のコーヒーが淹れられます」という製品とは別の方向を向いているのだ。

ビビッドな色合いだった初代のドリップポッドから、徐々に、生活に馴染みやすいカラーと形状に変化。「YPUBI」はその名の通り、身近な道具として作られているのが分かるデザインだ

 「DRIP POD」シリーズの最初の製品は2015年に発売した。若い女性にもコーヒーを楽しんでもらいたいという思いで開発したこともあり、コロンとした可愛いルックスの製品だった。フィルターの付いたカプセルに入った粉を、ハンド・ドリップ的に抽出するという機能も、この時点で完成していたそうだ。

 また、お茶や紅茶のカプセルも既に用意していて、豆とは違うドリップの仕方をするといった機能も既に搭載されていた。「ただ、かなり女性を意識したデザインでした」と小牧さん。

 二代目の時に、少し色を変え、さらにカプセルとは別に、「レギュラー・コーヒー・フィルター」という、好きなコーヒー豆をDRIP PODで使えるようにする付属品を追加。これで、自分が買ってきた豆を使うことも可能になった。

 2020年発売の三代目は、デザインを直線的にして、幅広い層に使ってもらえる形に変更。抽出スピードをゆっくりにして、全体的に味わいを濃くする「ストロング・モード」を搭載した。このモデルは今回の「YOUBI」との並行販売なので、今も現行商品。

 そして、今回の「YOUBI」では、アプリとの連携で、抽出レシピを選べるようになったわけだ。面白いのは、ユーザーの好みに合わせて設定するというよりも、ユーザーの気分に合わせて、アプリがレシピを提案するといったインタフェースになっていること。

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