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「バリスタみたいな存在に」 アプリが淹れ方をエスコートするコーヒーメーカー「DRIP POD」にUCCが込めた思い分かりにくいけれど面白いモノたち(3/5 ページ)

» 2023年10月31日 13時01分 公開
[納富廉邦ITmedia]

バリスタみたいな存在のマシンに

「一つ前のDRIP PODには、ストロングモードの他に、アイスコーヒーが作れるモードも付いていたんです。でもお客様にアンケートを取った時、標準モードしか使わないというお客様が結構いらっしゃって、ビックリしたんです。でも話を聞いてみると、濃くなるとどうなるのか、どういう味になるかも分からないし、どういう時にそれを使えばいいのかも分からないということでした。せめて説明があればという声もあって、その時に、コーヒーのことを隣で教えてくれるバリスタみたいな存在のマシンになるといいなと思いました」と小牧さん。

アプリにエスコートしてもらいながら、淹れ方を決めることができる。もちろん本体のみでも使えるが、今回は、アプリとの対話込みの製品というコンセプトになっている

 そこが出発点であれば、今回の「好みに合わせてカスタマイズ」という方向ではなく、ガイド的なインタフェースになっているのも分かる。このマシンを筆者が気に入ったのは、このアプリのインタフェースも含め、製品全体に渡ってコンセプトに沿ったロジックが一貫しているからだろう。ただ「おいしいコーヒーが手軽に飲めます」ではない、別のロジックから生まれた製品というのが新鮮なのだ。

 そうなると気になるのは、このマシンで使えるレシピはどういう観点で作られ、どういう仕組みでマシンで再現できるのかという部分だ。「元々、DRIP PODのカプセルは、コーヒーを世界中を旅するように味わうというコンセプトでラインアップをそろえているんです」と説明してくださったのは、小牧さんと同じ部署で、レシピ開発の責任者を務めている、進裕子さん。「なので、それぞれの豆の産地の特徴をより引き立たせるというのが前提です。レシピ作りもその方向で、3人のチャンピオン・バリスタに相談させていただきました」。

アプリ上では、自分の気分やタイミングに合わせたレシピ選びが可能。進さんが3人のバリスタへインタビューを行い、その上で豆を選んで依頼したという、それぞれのレシピの特長の違いも面白い。例えば、「ホンジュラス&コロムビア」では、3人それぞれが考えたレシピが用意されている

 豆も焙煎の仕方も挽き方も分量も、湯量も湯温も抽出速度もコントロールできるのならば、出来上がるコーヒーもプロのレシピがそのまま再現される。その結果、同じ豆を同じマシンで淹れていても、単に濃さだけではなく、淹れ方でこれだけ味が変るということをユーザーに知ってもらうこともできる。

 しかし、どうすれな何がどう変わるなんてことはそうそう分からない。だからアプリでは好みにカスタマイズするというのではなく、こういう気分ならこのレシピはいかが? という形で提案するスタイルを取る。それを飲むユーザーは、同じ豆なのに淹れ方で全然味や香りが変るということを理解できる。しかも、そのコーヒーの味は、メーカーが、その豆で伝えたいと思う味わいなのだ。なんて、明快なストーリー。

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