「一つ前のDRIP PODには、ストロングモードの他に、アイスコーヒーが作れるモードも付いていたんです。でもお客様にアンケートを取った時、標準モードしか使わないというお客様が結構いらっしゃって、ビックリしたんです。でも話を聞いてみると、濃くなるとどうなるのか、どういう味になるかも分からないし、どういう時にそれを使えばいいのかも分からないということでした。せめて説明があればという声もあって、その時に、コーヒーのことを隣で教えてくれるバリスタみたいな存在のマシンになるといいなと思いました」と小牧さん。
そこが出発点であれば、今回の「好みに合わせてカスタマイズ」という方向ではなく、ガイド的なインタフェースになっているのも分かる。このマシンを筆者が気に入ったのは、このアプリのインタフェースも含め、製品全体に渡ってコンセプトに沿ったロジックが一貫しているからだろう。ただ「おいしいコーヒーが手軽に飲めます」ではない、別のロジックから生まれた製品というのが新鮮なのだ。
そうなると気になるのは、このマシンで使えるレシピはどういう観点で作られ、どういう仕組みでマシンで再現できるのかという部分だ。「元々、DRIP PODのカプセルは、コーヒーを世界中を旅するように味わうというコンセプトでラインアップをそろえているんです」と説明してくださったのは、小牧さんと同じ部署で、レシピ開発の責任者を務めている、進裕子さん。「なので、それぞれの豆の産地の特徴をより引き立たせるというのが前提です。レシピ作りもその方向で、3人のチャンピオン・バリスタに相談させていただきました」。
豆も焙煎の仕方も挽き方も分量も、湯量も湯温も抽出速度もコントロールできるのならば、出来上がるコーヒーもプロのレシピがそのまま再現される。その結果、同じ豆を同じマシンで淹れていても、単に濃さだけではなく、淹れ方でこれだけ味が変るということをユーザーに知ってもらうこともできる。
しかし、どうすれな何がどう変わるなんてことはそうそう分からない。だからアプリでは好みにカスタマイズするというのではなく、こういう気分ならこのレシピはいかが? という形で提案するスタイルを取る。それを飲むユーザーは、同じ豆なのに淹れ方で全然味や香りが変るということを理解できる。しかも、そのコーヒーの味は、メーカーが、その豆で伝えたいと思う味わいなのだ。なんて、明快なストーリー。
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