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「バリスタみたいな存在に」 アプリが淹れ方をエスコートするコーヒーメーカー「DRIP POD」にUCCが込めた思い分かりにくいけれど面白いモノたち(4/5 ページ)

» 2023年10月31日 13時01分 公開
[納富廉邦ITmedia]

淹れ方でハッキリと変わるコーヒーの味を体感

「これまでの『DRIP POD』では、基本的にコーヒーについては、まず蒸らしをして、あとは同じ温度で一湯式で淹れ切る形だったんです。でも今回の、例えば『ホンジュラス&コロンビア』の、フルーティーに淹れるレシピでは、抽出に当たって蒸らしには高目の温度のお湯を多めに使って、抽出時も全体的に濃く味が出るようにしてから、後半は低温のお湯でさっと抽出しています。前半で甘味と酸味をしっかり出しながら、後半で雑味を切るといったアプローチですね」と進さん。

 標準的なレシピとフルーティーになるレシピで淹れた「ホンジュラス&コロンビア」の飲み比べをさせてもらったのだけど、これが、ハッキリと味が違う。さほどコーヒーに慣れていない人でも、違うことは分かるはずというくらいには違う。豆の個性のような部分は変わらない。だから、どちらがおいしいということではなく、どちらが好きか、どちらの味が今飲みたいかという基準で選べる。そして、淹れ方でこれだけ味が変わるということを体感することができる。これが面白い。

 実際、自分で淹れていると、どうしても自分が好きな淹れ方のパターンができて、それに満足してしまうから、中々、違う淹れ方を試そうとはしなくなる。筆者も二湯式で淹れるのだけど、前半と後半ではっきり湯温を変えるなんてことは面倒で中々やれない。

「正直、家庭で条件を完全に揃えていただくのは難しいと思います。そういった部分をお任せいただければ、もっとコーヒーが楽しめるのになという思いはありましたね。私も、同じ豆で淹れ方を変えて飲み比べというのは、それほど経験していなかったので、今回、いろいろ試してこんなに味が違うものができることに驚いて、同時に可能性も感じたんです。それが一般のお客様にも分かりやすい違いを再現できるというのは、展開として面白いし、やりがいがあります」(進さん)

「鑑定士の誇り アイスコーヒー」のカプセルを使った2つのレシピ飲み比べ。左が「濃く深い喫茶店の味」、右が「コールドブリュー」。色から違うのが分かる。コールドブリューがならではの甘味のあるスッキリした仕上がりなのも驚くし、喫茶店の味が、本当にそういうムードなのもうれしかった

 淹れ方の違いによる風味の違いとして面白いのは、「鑑定士の誇り アイスコーヒー」のカプセルを使った二つのレシピ。一つは濃く深い喫茶店の味、もう一つはなんとコールドブリューなのだ。コールドブリュー、つまり水だしアイスコーヒーである。コーヒー・メーカーで水だしが作れるわけはなく、だから、あくまでもコールドブリュー風なのだけど、この飲み比べは本当にびっくりした。

「カフェインは高温の方が抽出効率が上がるんです。そこで前半は70度台でゆっくり淹れて、さらに後半は60度台でゆっくり落とします。そうやってコールドブリュー風に仕上げています。これより低い温度だとシャバシャバになってしまうギリギリを攻めてます。もう一つのレシピは、喫茶店のアイスコーヒーの持ち味でもある苦味をしっかり出すために、じっくりと時間をかけて抽出します。これ抽出に約3分かかるので、現状のカプセルでは一番時間が掛かるレシピなんです」と進さん。コールドブリューは小牧さんのお気に入りレシピでもあるそうだ。

 コールドブリューより喫茶店のいわゆる濃いめに出して一気に氷で冷やすタイプのアイスコーヒーの方が時間がかかるというのも面白い。抽出時間や湯温、湯量の関係は、素人考えとはまた違ったところにあるというのは、なんだかワクワクする。

 紅茶や日本茶のカプセルでは、最初の蒸らしの段階でたっぷりのお湯をかけて疑似急須のような状態にしてから、そのあと注水していくという方法を取っているという。また、茶葉を通常ないほどに細かく裁断しているそうだ。その細かい茶葉とカプセルのフィルター部分の目の細かさ、浸出時間をたっぷり取ることなどで、きちんとおいしいお茶が入る。粉っぽさがないのが素晴らしい。

アプリは、Webと連携して、単にYOUBIと連携するだけではなく、コーヒーの情報や甘いものとのコラボ例など読み物としても充実した内容。カフェでバリスタと会話している気分で使えるようになっている

 アプリのインタフェースも上手い構造だ。「味だけじゃなくて時間軸もコーヒーを飲むシーンとして大事な要素だと考えたんです。なので、アプリでは、朝昼夜とか、リラックスタイムとかおやつの時間とか、そういう時間に楽しむ味はどういうものがいいのかという視点を入れながら、プロのコメントなども挟んで行く構成です。コメントを見ながら、今は昼だけど、こういう感じなら朝の感じで淹れてもらおうかな、みたいなこともできるように考えました」と小牧さん。

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