──「不安」というお話がありましたが、二転三転する状況を現場としてどう受け止めていますか
板橋 情報収集を積極的にしながら対応しなければいけないと思っています。ただ、国の方から急なスケジュール変更もあります。中には自分たちだけで対応し切れないものもあるので、ベンダーなどと協力しながら代替案も含めて検討していくしかありません。現場としては、各所に協力を仰ぎながらやっていくしかないと考えています。
北條 逃げるわけにはいかないので、板橋の言うように頑張っています。とはいえそれだけではどうしようもないこともあるので、不安かどうかと聞かれれば間違いなく不安です。
──実際に標準化を進める中で、壁になりそうな点があれば教えてください
板橋 仕様書にシステムと業務を合わせるということは、(20業務に関して言えば)そこから外れる業務は何かしらのオプションをつけない限りできなくなることになります。一方で、今後も新しい取り組みを考える必要は当然ある。
できないことがあるなりに、新しい取り組みをどう進めるのかを、「デジタルイノベーション課に任せればいいや」ではなく、担当課が自分たちで考えて行動できるように意識付けしたいと考えています。
北條 システム的なガバナンス(統制)という視点で、私たちのような部署が全く関わらなくなることはありませんが、課題に密着した現場からの問題提起もまた必要だと思います。
──逆に、標準化に期待するプラスの効果を教えてください
板橋 これまで、システムについては市独自の改修を繰り返していたので、システムベンダーを変えにくい点は確かにありました。水戸市自体はベンダーを変更してはいませんが、自治体の中には標準化のメリットの一つである「ベンダーロックインの抑制」にはつながるところもあるのではないでしょうか。
北條 標準化が落ち着いた何年後か(業務用アプリが出そろったタイミング)には、板橋の言うように変わってくるかもしれません。現状、ベンダーからは「今は人材不足で、とてもじゃないが提案を受けても対応できる状況ではない」「今抱えている標準化案件の対応に手いっぱい」という声も聞いています。水戸市としても、必ずやれるかは現時点ではなんとも言えません。
とはいえ、標準化自体は現場の仕事を見直すいい機会と考えています。今まで続けてきたものを変えるのは難しいですが、いや応なしの見直しが必要な状況でもある。当課においても、本当に職員がやるべきことを見出すチャンスだと捉えています。
──標準化をビジネスチャンスと捉えるベンダーが多いものだと思っており、少々意外です
北條 ベンダーの中からは、標準化が自分たちの今後をどう左右するのか、という不安の声も聞きます。先ほど運用経費3割減に対する不安の話もありましたが、そこを巡って何かあったら──という危機感があるようです。
──ガバメントクラウドとして認められているのは外資の4クラウドだけですが、日本企業が認定を得る可能性も出てきています。この動向についてどうお考えでしょうか (注:取材時点ではさくらインターネットの採択は未発表)
板橋 水戸市としては、ベンダーと協力してクラウドを選定しています。ベンダー側が新たな国産クラウドの採用を検討するということであれば、一緒に考えていく余地はあるかと。
北條 個人的には、これまで国産クラウドに動きがなかったことを残念に思っていたので、期待しています。
【編集履歴:11月29日午後3時48分 追加の取材に基づき、組織名など一部表記を変更しました】
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