熊本市の大西一史市長は11月22日の会見で、政府が主導する“自治体システム標準化”施策について、福祉系のシステムが期限までに間に合わない見通しを明らかにした。
「熊本市に限って言えば、児童手当や児童扶養手当、生活保護など福祉関係のシステムが、期限までの移行のめどがついていない。移行困難システムについては、国とも協議を進めながら、ベンダーとの意見交換も求めている。できるだけ早い時期にシステムが移行できるように、関係者と協力しながらやっていく」(大西市長)
自治体システム標準化とは、複数の民間事業者が一定の基準に沿った業務用アプリを政府が定める共通クラウド基盤「ガバメントクラウド」上に開発し、自治体が状況に合わせて導入する取り組みを指す。
自治体は共通化されたクラウド基盤と業務用アプリを使うことになるため、既存業務の見直しが必要になる。共通化の対象として定められている業務は住民基本台帳、国民年金、児童手当、介護保険の事務など20種類。なお、ガバメントクラウドの利用料は自治体が負担する。
デジタル庁や総務省は共通化により、自治体の人的・財政的な負担削減などを見込んでおり、原則として2025年度末までの完了を求めている。総務省は移行費用の補助金として7000億円近くを確保しているが、もし期限から遅れた場合は補助の適用外となる可能性もある。
一方デジタル庁は、システム移行の難易度が高い場合については、当初とは異なる期限を設定する方針も示している。
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