このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
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スペインのConsejo Superior deInvestigacionesCientificas(CSIC)に所属する研究者らが発表した論文「Mechanical resonances in single living human cells revealed by stochastic coupling to a micromechanical resonator」は、人間の細胞に共鳴周波数が存在するかを検証した研究報告である。
生きている人間の細胞は、条件が整えば強く振動する特定の周波数、つまり共鳴周波数を持っているといわれている。これは長年にわたり疑われていたが、確定的な証明はなされていなかった。
この研究では、生きている人間の細胞の共鳴周波数を実証するために行われた。実験では、金とシリコン製の小さなカンチレバーを使用し、人間の乳房上皮細胞をカンチレバーの表面に取り付けて振動を誘発させた。そして、レーザーを使ってその微妙な動きを測定した。
その結果、カンチレバーの上の細胞が共鳴周波数で振動していることが明らかになった。特に、細胞の振動は10〜30kHzと150〜180kHzの周波数範囲で起こることを確認。この範囲は、人間の聴覚範囲の境界およびそれを超える領域に位置している。
Source and Image Credits: Veronica Puerto-Belda, Jose J. Ruz, Carmen Milla, Alvaro Cano, Marina L. Yubero, Sergio Garcia, Priscila M. Kosaka, Montserrat Calleja, and Javier Tamayo. Mechanical resonances in single living human cells revealed by stochastic coupling to a micromechanical resonator
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