「実は形状が円柱状になっているのも、パステルの形なんです。クレヨンは先端が円錐状になっているのが普通なんですよ。デザイン的な意味での区別ということもあるんですけど、もともとオイルパステルは柔らかめで広く面を塗るのに適しているから、形状も円柱や四角柱になっていて、対してクレヨンは硬めで、線を描くのに適しているから先が尖ってるんです」。それでも商品名がクレヨンになったのは、名前としてオイルパステルよりクレヨンの方が浸透していることもあるし、柴崎先生がクレヨンを推したということなどで決まったのだそうだ。
「どちらかといえばオイルパステル寄りではあるんですけど、『アートクレヨン』はクレヨン同様、ガラスやプラスチックにも描けます。オイルパステルだと油分が多くて滑っちゃうので、なかなか色が乗らないんです。なので、紙以外への描画や表現が楽しめます。つるつるしたところに描いたものなら、ティッシュで擦れば結構しっかり消えますから、紙に描いて失敗するの嫌だなあとか、そういう時にもストレスフリーな画材として使ってもらえたらと思います」
大人のクレヨンということで、子供用のクレヨンでは安全上使えない顔料が使えることや、子供用のクレヨンは彩度もJIS規格で範囲が定まっているのだけど、JISを取る必要がない大人用の画材の場合、そういう縛りを気にせず作れるという違いもある。
「もちろん、ぺんてるはISOの安全基準(国際玩具安全基準ISO8124-3(『重金属8元素の基準値)』に適合)に則って作っているので、一部のプロ用の油絵具や岩絵具にあるような、毒性の高い顔料などは使っていません。他の大人用オイルパステルなどでも同じです。そういうのも使えるとなると、いい色も沢山あるんですけど、大人向きとは云え、どの世代の方も使えるように作るというのは、ぺんてるとしては譲れないところなんです」と三浦さん。
今回は色に関しては、柴崎さんの画家として、また絵画教室の先生としての経験に基づいた選択を忠実に再現するように努めている。もともと、彩度が高目のクレヨンやオイルパステルを作っていたので、発色を鮮やかにするのはむしろ得意なのだそうだ。
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