神奈川県の公立高校入試のインターネット出願システムで、「@gmail.com」ドメインのアドレスにシステムからのメールが届かず、受験生による登録や高校出願に支障が出ていた問題が、2月7日までに解消した。問題発生から完全解消まで1カ月かかっている。
県は問題の原因について「システム開発を委託した業者の設定に不備があったため、メール送信が集中したタイミングでGmailに迷惑メールと判定されたのでは」と説明しているが、設定のどこが問題だったかは特定できておらず、Googleに問い合わせても回答がないという。
ネット上では今回、業者の技術力を疑問視する声も出たが、担当者は「県が仕様書を出して技術確認を行い、仕様に対応できるとのことで入札で決めた。問題ないと考えている」と述べている。
出願システムは1月4日に公開。メール配信サービスは当初、米Amazonの「Amazon Simple Email Service(SES)」を利用しており、当初は問題なく動いていたという。
ただ、多くの受験生の事前登録が集中した1月9日の午後から「@gmail.comのアドレスにメールが届かない」という問い合わせが相次いだという。
このため業者は、いったん@gmail.comへの送信を止めた上で、Gmailの送信ガイドラインを見直し、修正を試みると同時に、Googleへの問い合わせも行った。だが、Googleからの返事が遅いこともあり、対策に時間がかかったという。
その後、「確実に届ける」とうたうメール配信システム「ベアメール」を提供するリンク社に協力を依頼。Amazon SESからベアメールに切り替えた。また、配信メールのドメインを予備用に2つ追加取得するなど、考えられる対策を順次採っていった。
1月19日になると、システムから@gmail.comへのメールが届き始めた。「一連の対策が奏功したのか、一度メールを止めて時間が経ったためGoogle側が迷惑メール判定を解除したのか、理由は分からない」と担当者は話す。
だが、出願期間が始まった1月24日に問題が再発。県は1月25日、教育委員会で管理しているメールアドレスを、システムで問題なく利用できることを確認した上で、受験生が在籍している中学校に提供することで対策した。
2月7日、県は一連の不具合についての最終報を出し「解消した」と宣言した。Googleからも「現在の設定で適切だ」とお墨付きをもらったという。
担当者は不具合の原因について、「設定が十分ではない状態で、出願システムから大量のメール送信を同時に行ったところで、Gmailにスパム、迷惑メールと判定されたのではないか」と推測しているが、どの設定に問題があったのかは分からないという。
Googleに問い合わせても「ガイドラインに沿って設定してほしい」と言うのみで、現在の設定のどこに不足や問題があるかは教えてくれなかったという。担当者は「個人的な推測」と前置きした上で、「Googleは、あまり詳細を開示すると、スパム事業者などに悪用されてしまう危ぐしているため、開示しないのでは」と話す。
業者の「設定ミス」だったという報道もある。これについて、担当者は設定「不備」は認めたものの、「gmail.com以外のメールサービスには届いていた。設定の“誤り”とは断定できないのでは。誤りというより、セキュリティの厳しいGoogle向けの設定が不十分だった」との見解を述べている。
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