社内コミュニケーションにはSlackを活用している。作品の資料を集める「参考資料チャンネル」は庵野氏御用達。庵野氏は日常的に大量の資料を集め続けており、参考資料チャンネルに投稿し続けていたという。
シン・エヴァには、08年・09年に庵野氏が個人的に撮った写真も多く使われていたという。庵野氏が投稿した資料には、「沖縄県ですでに閉店したミリタリーショップの特定のページの画像」など、極めてマニアックなものも多かった。こうした資料はプリヴィズ制作などにも活用されている。
参考資料以外の庵野氏とのオンラインコミュニケーションはメールベースだったが、Slackの社内掲示板チャンネルにスタッフが投稿した「このたび結婚しました」という文言に、庵野氏が「おめでとうございます」の絵文字付けるなど、日常的な交流もあったという。
庵野氏はいわば「オタク」的クリエイターで、日常で当たり前のように資料を収集し、知識を仕入れている。成田氏はJAXA出身だが、宇宙開発について、庵野氏や鶴巻氏のほうが詳しいこともあったと話す。
「彼らは小学生のころからSF作品を嗜み、好奇心を持って調べてきた人。庵野さんからは『このセリフはラグランジュ5と3のどっちがいい?』と聞かれたこともあります。ちょっと待って……と」(成田氏)
また、カラーの一部のクリエイターは、生成AIツールを独自に調べて使い始めているそうだ。デジタル作画スタッフだけでなく、アニメクリエイターはみんな好奇心旺盛なので、新しいツールに抵抗がなく、積極的に使おうとする傾向があるという。
「プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン」に書かれた庵野氏インタビューの締めくくりはAI評だ。AIを映画制作にどう活用できるか、AIに脚本は書けるのか。AIが進化したときに残る監督の役割は――。その答えを知りたい方は書籍を手に取ってみてほしい。
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