「もともと、『珈琲考具』というブランドを立ち上げるきっかけになったのが、ドリップ用のポットでした。弊社の家庭向きのキッチン用品を作る企画の中で、誰でも簡単にハンドドリップができるようにと考えて作ったポットが、たまたまプロのバリスタの方の目にとまったんです」と安達さん。その時、プロの方に「このポットを使うことによって、今まで技術がない方でもコーヒーを美味しく淹れられますよ」というような意見をいただいたという。
そのポイントになったのが、今回の製品にも引き継がれている、「ポットを傾ける角度に関わらず、細く、真っ直ぐにお湯が注げる」という機能だ。コーヒー用のドリップポットはプロ用を始め、色々なメーカーが発売しているけれど、通常、注ぎ口の直径は約10mmが一般的。ところが、珈琲考具のポットは直径6mm(内径4.5mm)という細さなのだ。この細さのおかげで、当然、お湯は細く出るから、その分、粉への当たりもソフトになる。
さらに、注ぎ口のカーブを工夫したことで、お湯は注ぎ口から垂直に下に落ちる。通常、傾けるほどに、お湯は勢いを増して、放物線を描くのだけど、このポットでは、傾けると確かにお湯が落ちる速度は上がるものの、放物線は描かず真下に落ちるのだ。これがどういうことかというと、慣れていなくても簡単に狙った場所にお湯を落とせるということ。
これ、実際に使ってみると分かるのだけど、本当に楽なのだ。楽というか、ほとんど考える必要がない。ゆっくりと螺旋(らせん)を描くようにお湯を注ぐのも、中央に静かに注ぐのも、自由自在。おかげで、適当に淹れても、ほとんど雑味のないクリアなコーヒーが出来上がる。私は、実のところ、多少の雑味があった方が好きだったりするのだけど、笑ってしまうくらいクリアに入ってビックリしたのだ。これは安心して良い豆を買えるということでもあると思った。
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