何の道具にせよ、“プロ用”というものがあって、何となくひかれるのだけど、素人には単なる使いにくい道具であることも多い。それこそ、初期の日本語変換ソフトで圧倒的に人気があった「ATOK」は、そのビジネス文書に特化した辞書が、様々なスタイルの文章を媒体に合わせて書くプロのライターにとっては、その便利さがかえって使いにくかった。それは現在の予測変換も同じで、むしろプロにとってはとバーッと読みが同じ漢字があるだけ並ぶ方が楽だったりするのだ。
といった具合に、プロ用というのは使いやすさよりも、自由度の高さや応用範囲の広さを重視した、道具としてはプリミティブというか素朴なものだったりするのは、実は多くの人がちゃんと知ってはいる。それでも、つい「プロ用」という言葉に魅力を感じてしまうのが素人のマニアだったりして、それは、例えば、コーヒーやお茶などを淹れる道具のような、差が分かりにくいくらいシンプルなものでは、プロ用を使うにこしたことはないと考えてしまうのも無理はないと思う。
ただ、もう何年も、ほぼ毎日、自分のためにコーヒーを淹れている私としては、おいしく淹れられることと同じくらい、楽に淹れられて、片付けが簡単であること、キッチンで場所を取らないことが重要になってくる。淹れるのが面倒だと思わないでいられることが、一番重要なのだ。だって、目的は淹れる事ではなく、飲むことだからだ。
下村企販のブランド「珈琲考具」のサイトには、トップに「味にこだわりたい、気軽に淹れたい、道具で気分を上げたい、あなたの心地よい時間に『珈琲考具』を。」と書かれていて、これはいいなと思ったのが、このブランドに注目したきっかけ。しかも、下村企販といえば、あのホットサンドメーカーの傑作「ホットパン」や、楽にフレンチトーストが作れる「フレンチバット」など、私が日常的に愛用している名品を次々と発売する「家事問屋」のメーカーなのだ。
その珈琲考具のドリップ用ポット「ドリップポットITTEKI Pro」は、プロのようなテクニックなしに、おいしいコーヒーを淹れるためのポットとして、とてもよく考えられていると思い、その開発コンセプトを、開発スタッフの安達雅浩さんにうかがった。
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