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自治体の1割、標準化システムへの移行困難 デジタル庁

» 2024年03月05日 13時27分 公開
[ITmedia]

 デジタル庁は3月5日、自治体の業務を共通化し、システムもそれに沿ったものに移行する“自治体システム標準化”について、移行状況の調査結果を発表した。移行対象の1788団体・3万4592システムのうち、171団体(10%)・702システム(2%)が移行困難であることが分かった。

 移行困難なシステムがあった自治体は埼玉県や北海道札幌市、仙台市、千葉県市川市、東京都台東区、渋谷区、荒川区、神奈川県横浜市、川崎市など多岐にわたった。さらに50団体・487システムについても、自治体から移行困難とする申し出があったという。ただしこちらは移行困難かの判断を保留している。

photo デジタル庁が公開したリスト(一部抜粋)

 自治体システム標準化とは、複数の民間事業者が一定の基準に沿った業務用アプリを政府の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド」上に開発し、自治体が状況に合わせて導入する取り組みを指す。自治体は共通化されたクラウド基盤と業務アプリを使うことになるので、既存業務の見直しが必要になる。

 共通化の対象として定められている業務は住民基本台帳、国民年金、介護保険の事務など20種類。デジタル庁は共通化により、オンライン申請の普及や、自治体の人的・財政的な負担削減などを見込むとしており、原則として2025年度末までの完了を求めている。詳細は過去記事も参照のこと。

 一方、自治体からは「期限が急すぎて間に合わない」「性急」とする声も多く、一部の市長会などからは期限の見直しを求める要望書も出ていた。デジタル庁は原則としてタイムリミットを変更しない方針だが、短期間に移行が集中するために支援事業者を確保できず、難易度が高い場合には移行困難と認め、当初と異なる期限を設定するという。

 調査は2023年10月と、同年11月から24年2月にかけて実施。移行困難の申し出があった自治体に対し、デジタル庁や総務省がヒアリングを行ったという。

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