スマートフォンのアプリ「Hotopia Standard」で温度調整が行えるのだけど、どの温度で、どのくらい温めるかに関しては、結局、電子レンジやオーブントースター同様、ある程度の経験が必要になる。目安としては、一番高温の設定で、レトルトのカレーが約20分で熱々になるという感じ。
ものすごい技術による最先端の布なのだけど、できることは「温める」だけなので、その使用感はとってもアナログ的。その生活に寄り添った未来感も、私がこの製品を好きだと思う要因だろう。
とはいえ、2月の「第97回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2024」で、初めてWILLCOOKの製品を見た時、私はありがちな製品だと思って、素通りしそうになったのだ。それでも、何となく引っ掛かるものがあって足を止めたら、この製品、なんと布自体が発熱するのだというのでビックリ。意味が分からなくて「は?」となって、その場でWILLTEX社長の木村浩さんに、どういうことなのか、お話をうかがったのだった。
実は、この発熱する布自体は、三機コンシスというメーカーが「HOTOPIA」という名前で、2016年には完成させていたもの。しかも、既に首都高速道路などで冬場の夜間作業用の服などに採用されていたり、ONWARDや三陽商会など大手アパレルメーカーの製品にも使われているというのだ。
デモ用の布を触らせてもらうと、確かに布全体が発熱している。しかも、布は導電繊維なので、バッテリーとの接点以外は金属部品が一切使われていない。
木村さんは「スマホのアプリを使えば4段階で温度調節もできるんです。布ヒーター自体は電力によっては最高280度まで温度上昇させることができます」と畳み掛けてくる。知らなかったことは不覚ではあるものの、知ってしまったら、いったいどういう布なのか、そこからどんなふうにビジネスに発展させたのかといった話が聞きたくなったので、取材を申し込んだ。
そういえば、1月に米国で開催された「CES2024」でベストオブイノベーションを受賞した製品が、そういう感じの製品だったなあと思い出したのは、その後のこと。
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