フィルムカメラの画質って基本的に「レンズ」と「フィルム」の関係で決まる。なんらかの調整を加えたいときはレンズにフィルターをつけてコントロールするんだけど、それ、気軽に撮りたいチェキには向かないよね。
で、富士フイルムはどうしたか。
なんと、カメラ内の4カ所にLEDを仕込んで、撮影の瞬間にそれを光らせることでその色を写真に無理やりかぶらせることにしたのである。発想が普通じゃない。わざわざフィルムに余計な光を当てるんだから。
フィルム交換時にちょっとだけ光って見せてくれるのでどうぞ。こんな感じに仕込まれてるのだ。
そしてLEDの色や光らせ方で6つのバリエーションを作ったのである。カメラには英字2文字で書かれてるけど、それだけ見てもわかりづらいのでリストアップ。
FGはフェーデッドグリーン。ちょっと緑かぶり。
WTはウォームトーンで暖色系。
LBはライトブルーでクール系。
SMはソフトマゼンダでマゼンダがちょっとかぶったレトロな感じになる。
SPはセピアなんだけど、いわゆるセピアカラーではなく少し黄色がかぶった古い写真の感じ。
LLはライトリーク。隙間から光が漏れてしまう感じ。
同じ場所で6パターン撮り比べて並べたのがこれだ。同じレンズ、同じフィルムでこれだけのエフェクト違いを作れるのである。発想も面白いし、うまく調整されてると思う。
LLは光の漏れ感を表現してるので下方向に色がかぶってるが他は全体の色を変えてるのが分かると思う。
カメラは光を画にするものであり(だから、PhotoGraphだ)、光の色が変われば撮れる画の色も変わるのである。
でもこれ、インスタントカメラの運用を考えると、かなり無茶な発想で、例えば、とりあえず「LB」で撮ってみて、どんなふうに撮れてるかな……と感じるまでに1分は待たねばならないのだ。
チェキなのでうにーっとフィルムが出てきて、そこに画が浮かび上がるのをじっと待つ。
それを見ながら、「あ、いい感じに撮れた」「うーむ、ちょっと違うなあ、撮り直そう」となるわけで、フィルムと時間の消費がはんぱない。タイパも悪い。エフェクトがあれこれかけられる分、余計、結果が気になってじっと待っちゃう。
でも、使ってみるとそれがいいのである。デジタルカメラとは違う時間が流れる感じ。
上の作例はとりあえず6枚撮ったあとでベンチに座ってふたりでじーっと画が定着するのを待って、ちゃんと撮れてるかを観て、「どれがいい?」とかやってたのである。
ちなみに彼女は「WT」が良いそうである。
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